Bordeaux Primeurs 2003

〜特殊なミレジム、ボルドー2003年を検証する〜

(Bordeaux 2004.3.29〜4.2)

 

 

 

 去る3月29日(月)より1週間、ボルドーで恒例のプリムールの試飲会が、各組織やシャトー毎に開催された。2003年は「世紀の酷暑」によって「異例のミレジム」であるが、この「異例であること」がどのようにワインに表れるかこそが最重要であることは、言うまでもない。

 異常気象が頻繁に起こる昨今、今年、そして近年中にまたもやこのような酷暑が訪れる可能性が全く無い、と言い切ることは決して出来ない。しかし今回話を伺った関係者たちの多くが「2003年ほどの気象は、やはり『100年に1度にしか起こりえない』と考えて良いのではないだろうか」と語る。ならば2003年に生まれたワイン達の誕生から熟成までを見守ることが出来る私達は、ある意味「非常に稀な機会に恵まれている」とも言えるかもしれない。

 

右がシャトー・フィジャックにて、醸造長のジャン・アルビノ氏と談義中のラファエル氏。ボルドーで樽からの試飲は稀。

 私自身はボルドー・プリムールに参加するのは初めてである。よってプリムールを判断する経験は不十分ではあるが、他産地での「生まれたてのワイン」を判断する時の経験と、過去に飲んだ瓶詰め後のボルドーの記憶を手繰りながら、公平な試飲に徹することは出来たと思う。また全ての試飲に付き添って頂いたパリのワインショップ「カプリス・ド・ランスタン」のラファエル氏(参照:「パリのワインショップ巡り」)の意見には、非常に助けて頂いた。勿論これから出てくる評価と、私の感想が異なることは大いにあるであろうし、私自身の見解も変わっていくかもしれない。それでもまずは可能な限り試飲したボルドーの感想を簡単にまとめ、最新情報や補足はあり次第、随時レポートしていきたいと思う。

 ちなみに先述のラファエル氏は10年来ボルドー・プリムールに参加し続け、各シャトーの評価を「顧客のためのプリムール評価」という資料にして、まとめている。各界の評価や情報を知った上でビシッと氏の物差しが当てられたその評価は政治力とは無縁で、非常に信頼できるものである。そして最終的に妥当な価格と思われるもののみを、プリムールとストックとして仕入れている。生きたボルドー情報が知りたい方に、「カプリス・ド・ランスタン」は一押しのショップである(氏は英語も完璧なので、フランス語力ゼロでも問題ない)。

 
 

 

*レポートは

1.収穫状況

2.メルローの受難

3.4大シャトー他、著名シャトーのテイスティング・コメント

4.産地別感想

で構成しています。

 

 

収穫状況

 

 2003年のボルドーも他の産地の例に漏れず、収穫開始は早かった。それは1893年以来の早さで、特に早熟であった区画(ボルドー市近郊)では特例措置が敷かれ、8月13日からソーヴィニヨン・ブランとソーヴィニヨン・グリの収穫が始まり、続いてボルドーのすべてのAOC白は、8月21日が収穫公示日となった。通常、ソーヴィニヨンの収穫開始は9月上旬である。
 また黒ブドウ品種でも早熟なメルローは最も早熟の区画で8月19日に収穫が開始され、8月の最終週から9月上旬には、殆どのシャトーが収穫を終えた。通常、メルローの収穫開始は9月中旬である。そして最後の収穫となったカベルネは、9月中旬から下旬に収穫が集中している。

 ブドウ畑では水不足による乾燥だけではなく(注)、除葉作業の加減(量や時期の早さ)の判断の微妙な差によってはブドウに「日焼け」が生じた。またブドウ房の小ささもあり過去10年来で最低の収穫量となった。

 

(注)

シャトー・ラトゥールの資料によると、ポイヤックの6月から収穫期である9月中旬までの降雨量は僅か140ミリ。また8月の平均気温は例年より5℃も高い。9月に入っても最高気温は28―35℃で推移したが、ボルドーは9月に「インディアン・サマー」と呼ばれる高温に恵まれることが多いので、9月の高温に関しては特に珍しいことではない。

 

 

メルローの受難

 

  2003年の気候は「早熟型=メルロー」と「晩熟型=カベルネ」で、大きく運命を分けている。

 

 ブドウを収穫するためには、糖度の上昇・果皮の色づきだけではなく、その土地らしいアロマを形成する為のフェノール類の生成や、また深みがあり熟成能力のあるタンニンを生み出す成熟した「種」が必要と言われている。そして特に「種」レベルまで熟するにはじっくりと時間をかけることが不可欠だ。

しかし酷暑の残滓が残る8月下旬に、糖度や色づきなど他要素のピークを迎えてしまったメルローを指して、多くの関係者は「フェノールや種の成熟がブロックされてしまっていた」と口を揃える。「ブロックされた」状態で収穫時期を遅らせることは、もはやメリットよりもリスクの方が大きいのだ。よって「見かけは立派な大人だけれど、中身は未熟」な、完璧とは言い難いバランスのメルローを多くのシャトーが収穫せざるを得なかったのではないだろうか。

それは味わいにもはっきりと出ている。右岸・サンテミリオンやその衛生地区では、若々しいメルローの魅力である赤系の果実味を飛び越して、殆どがいきなりねっとりとしたカシス、ブルーベリーが現れ、濃いが深みに欠け、余韻は樽由来の非常に乾いたタンニンのみで構成されているワインがかなり目立った。特に「メルロー100%&新樽100%」、この条件が揃うと、「成功組」と「失敗組」が顕著に別れる。またポムロールやその周辺地区もその傾向が見られる他、砂利や砂質のメルロー特有の通常は爽やかなオレンジ香が、オー・ド・ヴィやアセトン系の「どきつさ」を伴ってしまっているものが多く見受けられた。「プニュマティック」と呼ばれる、焼けたブドウ特有のタイヤ臭も、左岸より右岸により多く感じられる。カベルネ系より皮が薄いメルローにとって、尋常では無い酷暑は不利に働いてしまったようだ。

カベルネの多い左岸でも、メルローの味わいだけが浮いたように感じられるワインと幾度と無く出会ったが、そんな中で従来のセパージュ配合よりカベルネ比率を上げたシャトーも多い。

右岸においても素晴らしいワインを発見する喜びには恵まれたが(このミレジムを手なずけたというのは、非常に恵まれた地理的条件と真の実力を兼ね備えたシャトーなのだと思われる)、自身が信じられる様々な評価が出揃うまで、右岸の購入は慎重に、というのが現時点での見解だ。

 

 

4大シャトー他、著名シャトーのテイスティング・コメント

 

 

 偉大と呼ばれるシャトーゆえ、評価に関しては

     その土地、シャトーらしさ

     凝縮だけではない、密度の緻密さ

     バランス

     フィネス、エレガンス

     深さ

     複雑さ

     純粋さ

     トップ・ノーズから余韻までの、イメージの一貫性

を、手厳しく(?)吟味した。そして2003年のネックである「タンニンの質」には、細かさ・複雑さだけではなく余韻に「乾き」が無い、純粋に果実由来のものであるかを重点的にチェックした。

 

シャトー・ラトゥール

     収穫日

メルロー:9/8〜9/13

カベルネ・ソーヴィニヨン:9/22〜30

     2003年のセパージュ比率:

カベルネ・ソーヴィニヨン:81%

メルロー:18%

プティ・ヴェルド:0.4%

     コメント

 カシスに代表される、黒系果実の深さ、複雑さ。飛び抜けたフローラル(スミレ、赤いバラ)。鉛筆の芯や炭化したミネラル。火を通したミルク。杉や苔、湿った土のイメージには将来黒トリュフに変化する予感があり、口に含んでも鼻を抜ける香りが刻々と変化し、複雑になっていく様は見事。ポイヤック、である。タンニンの細かさや深さにはポテンシャルが感じられ、酸、ミネラルの縦の線と綺麗に調和して、上品なヴォリュームが広がっていく。

 余韻の品、長さも申し分ないが、惜しむべくはやはり最後にほんの少しだけ乾いた感じが残ってしまう部分である。難しいミレジムでも上手く仕上げることで定評のあるラトゥールであるが、そのラトゥールの過去のものと比べても2003年は上位1/3には入ってくるのではないだろうか。

 

シャトー・ムートン・ロッチルド

* ムートンのブドウの収穫日:9/15〜9/26(セパージュ別での回答聞き漏れ)

     2003年のセパージュ比率:

カベルネ・ソーヴィニヨン:76%

メルロー:14%

カベルネ・フラン:8%

プティ・ヴェルド:2%

(→「メルローに成功したために、通常よりメルローが多い」とのこと)

     コメント

 カシス、黒いサクランボなどの黒系果実が最も圧倒的。ショコラ・トリュフ、中煎りのカカオ、ビター・チョコ。粒の黒コショウや丁字。少し錆っぽいミネラル。花や森と言った植物相のイメージよりも、果実、チョコといった黒い「食べ物」のイメージ。

 この「食べる」イメージはタンニンの質にも共通していて、細かいタンニンは飲むと言うより食べる感じ。綺麗な酸も存在する。余韻は長いが、1本の線ではなく、様々なイメージが線香花火のようにポツポツとフェイド・アウトしていき、最後にはやや乾きが残る。ムートン側では「1982の再来になる可能性を秘めているのでは」という見解であったが、個人的には様々な要素が少々ギクシャクと繋がっているところにやや格の欠如が感じられる。ただこれらの要素が熟成によってどうまとまっていくかは未知なので、現時点では何とも言えない。

 

シャトー・ラフィット・ロッチルド

     収穫日

メルロー:9/8〜12

カベルネ・ソーヴィニヨン:9/15〜24

カベルネ・フラン:9/16

プティ・ヴェルド:9/16〜23

     2003年のセパージュ比率:

カベルネ・ソーヴィニヨン:86%

メルロー:9%

カベルネ・フラン:3%

プティ・ヴェルド:2%

     コメント

 鉛筆の芯、スミレ、赤いバラ、ショコラ、黒い果実、、、、それらが全く一体となってぐ〜っと広がっていく。杉、苔、黒トリフの予感といったポイヤックらしい森のイメージは、今回試飲した試飲の前ワインの中で、ラトゥールに並ぶか、それ以上に強かった。

 タンニンの緻密さ、甘味は「噛める」ようなねっとりとしたヴォリュームがあるが、ムートンの「食べる」ようなイメージとは少し違い、個人的には「食べる」よりも「噛める」テクスチャーの方が滑らかさという点で好ましく感じられる。甘味の裏に常にある、ミネラルの冷たい感じもこのワインに上品な格をもたらしているように思われる。

 若いタンニンの上質な苦味を伴った余韻も非常に長く伸びるが、最後の一点に乾いたニュアンスが残ってしまう点のみが、唯一惜しい。

 

美しいセラー内にて。2003年の樽。

シャトー・マルゴー 

     収穫日

メルロー:9/10〜

カベルネ・ソーヴィニヨン:9/18頃〜9月末

     2003年のセパージュ比率:

カベルネ・ソーヴィニヨン:83%

メルロー:12%

カベルネ・フラン:3%

プティ・ヴェルド:2%

     コメント

 スミレ、赤〜黒のバラが溢れんばかりにあるのだが、それらはまるで香水のように、とんでもない密度と伸びを伴っている。赤〜黒系の果実の複雑性も見事。それらの華やかさを、ミネラル、湿った土、苔、杉といった深い森のイメージが、しっとりと追いかけてくる感じ。香りの層の深さに脱帽である。

 アタックは一瞬柔らかく感じられるが、それは余りにもタンニンが細かいからなのかもしれない。2−3秒もすると次第に細かくポテンシャルを感じさせるタンニンが三次元的に広がっていくのだが、決して口蓋のどこかにベッタリと引っ付いてしまうことはない。

余韻には細かなタンニンや、それとは感じさせない上品なミネラルや酸が、長く心地よく残り続ける。緻密であればあるほど体重を感じさせない、最高の例の一つであると思う。乾きなどの痕跡は微塵も見せずに、エレガンスとフィネスのイメージだけを口と鼻に残していく。今回の試飲の中で、ベスト2の一つ。

 

シャトー・パルメ

     収穫日

メルロー:9/8〜

カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルド:9/16〜20

     2003年のセパージュ比率:

カベルネ・ソーヴィニヨン:68%

メルロー:20%

プティ・ヴェルド:12%

(→1970年以来の、カベルネの多さとメルローの少なさ)

     コメント

 フローラル(スミレと赤いバラ)、フランボワーズやグミといった酸を感じさせる赤い果実や、ハイビスカス・ティー、黒サクランボ、生のカシスの黒系果実があり、果実の複雑性が非常に綺麗。血を連想させる鉄のニュアンスが後半の香りに伸びてくる。

 タンニンの精細・上品な旨味が、2003年としては結構な酸、そしてミネラルとまとまって(少し酸が浮き出た感じもしないではない)、良い意味で細い線を持ったコンパクトな印象を受ける。余韻もほっそりと伸び、全体的に「細く、長く」の綺麗な仕上がり。

 

オーゾンヌのシャトーは、外見だけでなく、そこに至る道筋やそこからの眺めも必見である。

シャトー・オーゾンヌ

 収穫日:聞き漏れ

     2003年のセパージュ比率:

カベルネ・フラン:55%

メルロー:45%

     コメント

 黒い果実。赤〜黒のバラ、そしてスミレの香りの深さが素晴らしい。ビャクダン、オレンジ・ピールといったアロマ・オイル的な香りもエキゾティック。檜、苔が相まった黒トリフの予感。粒の黒コショウや丁字。ほんの少しだけプニュマティックな香りがある。

 細かいタンニン、ミネラル、酸のバランスは立体的でバランスが良く、そのミネラルと少しのオレンジを伴った酸は、一瞬ピチピチと感じられるほどである。そんなピチピチさも口に含んでいるうちにワインの中に溶け込んでいき、後半は品のある滑らかな液体感が静かに口蓋を満たしていく。

 余韻に少しの乾きが残ってしまうのが残念であるが、全体的には個性と魅力を強烈に感じさせてくれる、ワインとしての「輝き」のようなものが個人的には好きである。

 

シャトー・フィジャック

     収穫日

メルロー:9/8〜

カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン:9/25〜

* 2003年のセパージュ比率:ほぼ従来通り(カベルネ系が7割)

     コメント

 香りの羅列の前に、正直言ってフィジャックがこんなにエレガントなワインとは思ってもいなかった。「右岸のメドック」と言われるフィジャックに持っていたイメージは、「質実剛健」以上でも、それ以下でも無かったのだが、2003年のフィジャックは「右岸のメドック」でありながら、洗練されエレガントな「超紳士」である。醸造は1983年からフィジャックに勤めるジャン・アルビノ氏が1995年より醸造長として就任し、全面的に手がけているということだが、いよいよ醸造長として氏の実力が開花しようとしているのかもしれない。そんな気がする。

 ところで香りにあるのは、非常に複雑性と深さを持ったスミレと赤いバラ。ベルガモットやカルダモン、ビャクダン。華やかなこれらの香りを香水にしてしまいたいほどである。そして黒い果実や、黒いスパイスがあり、森のニュアンスは非常に「青さの全く無いポイヤック」。

 香りにある香水様の華やかさは味わいにもあり、細かなタンニン、適度な酸と一緒に、口の中で生まれたてのワインの「花」が咲くような、軽やかで綺麗な力がある。それでいて骨格の端正さ、背後にある冷たさがこのワインに浮ついた印象を与えない。滑らかな液体の余韻の長さ、芯の強さには熟成のポテンシャルを大いに感じさせる。そしてトップ・ノーズから余韻まで、所謂「グラン」と言われるワインに共通する、一定の旋律のようなものが流れている。個人的に今まで余り関心の無かった(スミマセン)ワインなだけに、今から購入を決めている次第である。2003年の中ではマルゴーと並んで、ベスト2であった。

 

 

産地別感想

 

 右岸については上記の2:メルローの受難と重複するのでここでは割愛するが、左岸については同行して頂いたラファエル氏の推測によると北部で水際のシャトーが、成功している傾向がある」。なぜなら水際は川が運んでくれる冷気の為に、通常は収穫が内陸部より少し遅く(シャトー・モンローズが良い例であるが、残念ながら試飲の機会に恵まれなかった)、2003年においても総合的な味わいから判断して、そうではなかったかと考えられるからだ。テイスティング・コメントは省略したが、サン・ジュリアンではデュクリュ・ボーカイユ、ポイヤックでは両ピションの中でも特にバロンが奥行きのある味わいや「土地らしさ」を醸し出しており、個人的には高評価である。

 またテイスターの賛否が分かれたのがペサック・レオニアンで、通常この産地には、赤い果実やチュ−リップのような花とも茎とも嗅ぎ分けにくいような青・赤さが目立つように思われるのだが、2003年は適度に黒い果実が加わり、スミレがチューリップに取って変わった。結果中にはコルトン?モレ・サン・ドニ?シャルム・シャンベルタン?というような味わいのワインが結構ある。ここで「ペサック・レオニアンらしくない」と判断すれば2003年はマイナス評価になってしまうのだが、私としては「ミレジムの個性がブルゴーニュの名だたる産地に似通った」という超私見で、魅力的なミレジムとして捉えている。この中での一押しは「シャトー・レ・カルム・オー・ブリオン」である。

 最後に、最近どうも脚光の当たりが悪く思われるソーテルヌ&バルサック地区であるが、こちらは飛び抜けて素晴らしい!ラフィット・グループの資料には「リューセックのPHが4,2になってしまった時には、一体どうやってワインに安定感を持たせろと言うのだ!」という、収穫前後を振り返った嘆きのセリフが書かれているが、そのセリフの表題は「矛盾のミレジム」となっている。ミモザ、キンモクセイ、貴腐香、ミネラル、甘さの密度は申し分なく、そして酸。理想的とは言えない条件の中で、一体何が起こったのだろう?ソーテルヌにおける補酸の措置・有無までは現時点で調べていないが、補酸が許可されていたとしても、酸が補われただけでは全体的な美しさは生まれない。2003年の異常気象がシャンパーニュの「二番摘みブドウ(グラピヨン)」に素晴らしい品質をもたらしたように、ボルドーにおいてはソーテルヌ&バルザック地区に、バッカスが大きなお土産を置いていったとしか思えない。近年のこの地区の当たり年と言えば2001年であるが、各界の重鎮の評価がどのようなものになるかが楽しみである。ちなみに私個人が感動したのはミネラルの美しさという観点で、スデュイローとラフォリ・ペイラゲであった(イケムは私の行った会場には、展示されていなかった)。

 

 現時点での簡単なレポートは以上である。1週間の中では物理的に心惹かれる全てのシャトーを試飲することも、また興味があってもアポイントを取ることが所詮無理で、著名なシャトーを比較する時にオー・ブリオンや、ムエックス・グループ、その他挙げるとキリがないが、それらが欠けてしまっていることは残念でもあり、読んで頂いている方には申し訳なく感じている。ただ、2003年という特殊なミレジムと、他のミレジムを比較していくことはワイン・ファンにとっても興味深く、得ることも多いのでは、とも思っている。そして何よりも、このHPでは少々遠く扱っていたボルドーを、このプリムールを通して再度見つめ直すきっかけにしていきたい。

ブルゴーニュとはまた違う、「悩める王者」がボルドーだった。