オスピス・ド・ボーヌ 2007 その2

147eme Vente aux Enchères des Vins des Hospices de BEAUNE

〜 中国における、ブルゴーニュワイン消費の伸びとは? 〜
 
 (Beaune 2007.11.18)

 

 

 

 

 

 

オスピスの記事のはずが、ボルドーの写真。ムートンにて、シャトー直売価格。日本で購入するのと、殆ど変わらない?

  日本におけるワインの高騰を語る時一つはBRICsの台頭、もう一つはユーロ高。特にBRICsの中でも身近な超大国・中国だが、近年、大手百貨店などでは彼らが桁違いの買い占めを行っていると聞く。ではブルゴーニュにとって中国とはどういう立ち位置にあるのか?

 ブルゴーニュワイン事務局によると、2007年度前半、中国への輸出額は金額ベースで0,3%(日本は11,9%)。だが2006年と比べると、伸び率が全世界において桁違いに高く、なんと230%増なのだ(2番目に高い伸び率は韓国で97%。日本は6%)。全ての状況を考慮しても、中国のワイン購買力が減少する要素が見あたらない。どの時点で彼らの購買力がはっきりとブルゴーニュワインの価格に反映されるか?かなり怖い。

 

 私が中国人の台頭を肌身で感じるのは、現時点ではボルドーに赴いた時である。プリムールに行く度に、バイタリティ溢れる中国人の姿は目に見えて増えている。また彼らが注目しているのは、今や左岸の1級シャトーだけではない。パルメやデュクリュ・ボーカイユといったシャトーでも、数十人の中国人団体を乗せたバスをしょっちゅう見かける。観光ではなく、シャトーの所有者や責任者と昼食を囲むビジネスだ。昼食に出されるワインメニューを見たが、それらはバック・ヴィンテージまで遡る錚々たるもので、彼らが新しい顧客として有望視されていることをつくづく実感する。

 またボルドー滞在時は地元紙に目を通すが、ここでも中国の台頭は常に語られている。11月下旬に訪れた時には、「アンジュリュス、中国の派遣団を迎え入れる」と1ページを使って紹介されていた。「中国はグラン・ヴァンを飲み干した」という小見出しに、果たして彼らの習慣である「乾杯」を指したのが、もっと別の揶揄があるのか?と近年の価格高騰を考えながら、かなり絶望的な気分になった。

 一方日本の立ち位置とは、ブルゴーニュにおいてもボルドーにおいても、「安定した市場」「ワインに対して深い理解力がある」で一致する。購買力の圧倒的なポテンシャルの差を憂いつつ、財布に優しい良質なワイン探しがますます必須になっていると感じる今日この頃だ。