2008年 ブルゴーニュの醸造風景
(2008/10/15〜17)




 

 

 簡単ではなかった2008年。でも簡単では無かったから、それぞれの生産者が工夫を凝らす。近年よく言われる「生産者のミレジムだ」。

 さて、そんな生産者のミレジム2008年、今年初めて試飲したのは、「イヴォン・エ・シャンタール・コンタ・グランジェ」のサントネー。コンタ・グランジェは、マランジェの個性を綺麗に発揮する品質を保ちながら、価格はケチなフランス人にさえ「安すぎる」と言われている。カリテ・プリ(価格の割に品質が高い。お買い得)なドメーヌの代表格だ。

試飲したのは樽に入れる時期を見極めるために、3日間を通して発酵槽から引き抜いてきたワイン(3日の垂直試飲?)。この時期にワインの良し悪しを言及するには余りにも早いが、赤いベリーがぎっしりと詰まった味わいに期待大。難しいミレジムでも、素晴らしい生産者は常にベストを尽くしているのだと、本当に感謝する。

 

 このレポートでは醸造風景をほんのちょっぴりお届けしたい。また各ドメーヌの収穫までの詳細は、別の媒体にて報告予定。

 

イヴォン・エ・シャンタール・コンタ・グランジェ

 訪問した日は、今年初めてのデキュヴァージュ(発酵槽から熟成樽・槽にワインを入れ替える作業)の開始直後。デキュヴァージュされるのは、数日の試飲を経て決定されたサントネー。フリーラン・ジュースを引き抜いた後、プレス・ワインを圧搾する。プレスされるのは発酵槽に残った果帽だが、バケツに一杯ずつ、手作業で圧搾機に入れていく。発酵槽に入った男性が、当主・イヴォンに果帽を渡し、イヴォンは果帽を圧搾機に入れる。マダムのシャンタールは「簡素な作業でしょ」と言うが、慣れない人が行えば腰痛になりそうな、延々と続く肉体労働だ。

 

左がイヴォン。「マランジュ」と書かれたお揃いの赤いエプロンで作業にGO

右の発酵槽から、左の圧搾機に果帽を移していく


 

生まれたてのワイン

 

ディディエ・モンショヴェ

 

 「2008年は2007年よりも難しかった」というディディエ・モンショヴェ。収量は例年より50%落ちたが、丁寧に選果されたブドウたちは順調に発酵が進んでいる。「今年のような天候の年は、自然の力を過信する傾向がある新しいビオの挑戦者にとっては難しかったかもしれないが、私のような古いタイプのビオ実践者は自然を過信することはない。経験による対処が吉と出たと思う」。またデキュヴァージュの日程は、月カレンダーを最優先にするのではなく、あくまでも試飲でベストな時期を決定していくという。ブルゴーニュのビオの先駆者は、栽培から醸造まで、ブドウの声を聞くことのできる人なのだ。

 

ポマールの木製発酵槽の前にて。ポマールは開花時のベト病により収量が16h2/ha前後にまで落ちたので、例年よりも小さな発酵槽を使うことになった 発酵中のシャルドネの樽。耳を近づけると発酵中のシュワシュワという音が聞こえて楽しい