3月から定期的にブルゴーニュを訪れている。2006年、2007年と続いて夏が不安定で、とくに2007年は6月以降、夏らしい日が続くことは収穫直前まで珍しかった。

　2008年であるが、このレポートを書いている7月時点では、ごく例年通りの夏を迎えている。このまま太陽がコンスタントに顔を覗かせることを祈りつつ、ブドウの結実までの簡単な現状況をレポートしたい。

 

発芽

フランス食品振興会発行メールマガジンhttp://www.franceshoku.com/、ＢＩＶＢ（ブルゴーニュワイン事務局）の資料から抜粋すると、

 

（フランス全般）

2008年シーズンの冬(07年から08年にかけての冬)はそれほど厳しくなかったが、3月に寒くなり雨が多く、ブドウ樹は行く手を阻まれ、ゆっくりと生長を進めた。
　3月末の寒さは一部のぶどう畑を直撃した。ミュスカデは、3月30日の夜から31日にかけての霜の影響で、20〜50%収穫量が減少した。ボルドーからプロヴァンスまで、芽が影響をうけやすい危険な時期である4月6、7日に、霜が降りた。一方、シャンパーニュ、ブルゴーニュ、アルザスといった北東部では、ブドウ樹の生長の進み具合は霜の被害を受けるほど早くなかった。

（ブルゴーニュの発芽）

今年の発芽は遅かった。発芽の中間期は場所や品種に関係なく、過去14年間で最も遅く、例年より10日遅かった。4月の上旬がとても涼しく、その後次第に気温は上がり、4月26、27日の週末は夏のような暑さとなった。しかし最も早熟の区画でも再び生長サイクルが始まったのは5月の上旬で、発芽は天気が良くなり暑い日を迎えた5月の二週目の週末に広がった。

4月上旬にブルゴーニュに行ったが、冬に試飲を行うのと同じ服装でなければ辛い寒さ。天気予報によるとこの期間の最低気温は−3℃。道路や畑が霜で白く光っていたが、訪問した生産者によると、この霜は想定内であり、またまだ発芽が進んでいなかったので、芽への被害（収量に影響する）は見られなかったという。

 

開花

ポマールのあるティエリー・ヴィオロ・ギィーマールの「クロ・ド・デリエール・サン・ジャン」にて。果粒の大小が見られる。畑やブドウ果はピカピカに健全

　フランス食品振興会発行メールマガジンhttp://www.franceshoku.com/、ＢＩＶＢ（ブルゴーニュワイン事務局）の資料から抜粋すると、

 

　遅い発芽の後、5月の下旬はかなり涼しかったため、開花の始まりに影響が出た。6月の最初の2週間も同様の天候であったが、数日は暑く日照に恵まれ、開花を促した。6月の最初の数日に早熟の区画で、最初の開花が見られた。また開花が始まった日は昨年よりは遅いが、例年並の範囲である。ブルゴーニュ全体としての開花の中間期は6月半ばで、過去14年間平均とほぼ同じ。

 

4、5月は雨が多くブドウ畑は湿気が多くなり、ベト病の危険が広がったようだ。また5月は夏のような時期と、涼しく雨の降る時期が交互で訪れ、それは6月上旬まで続いた。

開花の時期に上記のような天候になると、開花の不揃いが起きやすい。またベト病はその後の結実へも影響を与える。そのため5月下旬から6月中旬までは、多くの生産者がベト病の対策に追われたようで、天候が安定しそうな日には、噴霧剤を搭載したトラクターを畑のいたる場所で見かけた。

生産者の意見では、今年の開花時期の特徴は、「開花時期が若干遅かった」と、「開花時期前半の天候が不安定だったため、開花の不揃いが見られ、開花期間が例年よりも長引いた」というものが多い。

 

結実

　ブトウの結実は6月の下旬に始まった。結実の状況は区画によって異なるが、生産者によると

＊     ミランダージュ（結実不良）を起こしたものが多い。よって収量が自然に落ち、小さなブドウ果は品質に寄与し、またブドウ果に風通しを与えるだろう

＊     一つのブドウ房の中でも、果粒の大小に不揃いが見られる

＊     果梗が長く、そこにまばらに果粒が付いたものと、普段より大きめの果粒を付けるものなど、区画やブドウ樹によって不均一

などの意見がある。また収量に関する見通しは、例年並み・少なめ・多いめ、と現時点ではまばらである。2007年と同様に、区画やブドウ樹によっての成長の進行が例年よりも均一性がない、という印象だ（ただし開花時期の不揃いがあっても、ブドウの成長には徐々に均一性が生まれてくるものらしい）。また雹害がマルサネで見られている。

  

　収穫時期は例年並みの9月下旬という意見が多い。今後の天候が普通に夏らしいものであり、また収穫前・最中の天候が良ければ、かなり良いミレジムになるのでは？と期待してしまう（過去に“８”の付くミレジム、７８，８８，９８も良い、、、というジンクス？もあり、、、）