11/28

〜パリ・ヴァージョン 第2弾!シャンパーニュな夜〜





 

 9月18日に1周年を迎えたパリのワインショップ、LAVINIA(ラヴィーニャ)の元気は留まることを知らないようようである。ワイナート20号でも報告したように去る6月21日に「ブルゴーニュを巡る素晴らしき出会い」と題してかのアンリ・ジャイエ本人をヴォーヌ・ロマネからパリに引っ張ってきたことにも驚かされたが(しかもこの時にはデュガなど20のきら星の如くの生産者達のワインが、無料で試飲できたのだ!)、その後も驚くべき試飲会は続いているのである。最近では10月24日に「世界のワイン」と称するソワレが催されたのだが、インドの生産者まで引っ張ってくるところがまたスゴイ。

 話は逸れるがちなみにこのインドのワインとは「Sula Wines(スーラ・ワインズ)」と言い、このワイナリーはインド・ワインのパイオニア的存在の一つであるらしい。近年はあのミシェル・ローラン氏もインドでコンサルティングを行っており(バングロワにあるグロブナー・ヴィンヤーズ。ローラン氏の娘さん曰く、氏の最初のアドヴァイスは「二毛作を一毛作に変えること」であったらしい)、コート・ロティのイヴ・ガングロフ氏が注目する中国と共に、なかなか好奇心をそそられる未知数の産地である。

 

 インドからLAVINIAに話しを戻そう(インド・ワインは後日レポート!)。またまたこの店はやってくれた。それは11/28のソワレである。題して「シャンパーニュのマジック(La Magie du Champagne)」。LAVINIA会員に届いたDMには

「ドン・ペリニョン 1995、クリスタル 1996、クリュッグのラ・グランド・キュヴェ、ラ・グラン・ダム 1995等々、、、を試飲できます」の文字。ソワレの名前はオシャレだが、内容はこれでもか、の豪華&剛速球ヴァージョンである。いそいそと参加の返信をし、当日の朝。LAVINIAからメールが。「ソワレの開始時間を30分繰り上げ、プレスにはスムーズに入れるように専用の入り口を設ける」との旨。う〜ん、これはLAVINIAの予想を超える申し込みがあったと見た。こういう時は先手必勝(?)である(今回はLAVINIA会員は無料、非会員は15ユーロで、ともに要申し込みである)。

ショップの正面入り口を入った受付の様子。この後大変な人混みに、、、。

 ソワレの5分前にLAVINIAに到着、上着と荷物を預け臨戦状態は完璧だ。こういう場では久しぶりの知人に会うことも多く、お久しぶりですねぇ、等という会話を交わしながら順調に試飲は進む。なんでもこの日はフーケでもシャンパーニュの試飲会があったようで、知人の一人曰く「LAVINIAは広くて空いているからいいね。フーケは人だらけで」。メゾンの要人達も「ようこそ、私達のメゾンへ」等と言いながらフルートにシャンパーニュを注いでくれる。ああ、シャンパーニュらしい優雅な試飲だわ、、、。しかしその優雅な空間は束の間であった。

 忘れないうちに写真を撮っておこうと正面入り口近くに向かい、目を疑う。入り口の外には既に長蛇の列が出来、受付では申し込み名を確認するスタッフが応対に追われている。あの人並みが全て店内に???そして写真を撮り終え現場(?)に戻るとそこは既にフルート・グラスを手にした泡もの好きのフランス人戦士でごった返していた。生産者達が彼らのプレスティージュ・キュヴェを開けると無数の手(フルート・グラス)がボトルの前に伸びる。それでも「このボトルは既に予約済みですよ」と笑ったりしてかろうじて優雅さで間を保つ生産者達は、さすがグラン・メゾン出身と言うべきか。おっと、感心している場合ではない。車を運転する在仏日本人達は「運転している時ほどフランス人が狩猟民族だと気付かされる時はないよ。とにかく我先に前に出るんだ」と嘆くが、泡ものにおける場も然りである。彼らは目的のプレスティージュ・キュヴェを目指しひたすら前進、そしてお目当てのスタンド前で良い場所をキープすると普段ドアの開閉で背後に気遣うあの美しいフランス人精神はどこへやら、堪能し尽くすまで決して自身の場を譲らない。この日ほど自分が取りあえず「小柄」で良かった(決して細くはないのだが)、と思った日はない。とにかく人混みに肩から切り込むのみ、である。

 
 

 しかしLAVINIAの大判振る舞いは続く(ちなみにシャンパーニュは生産者負担であるようだ)。LAVINIAの1階(日本で言う2階)はショップで購入したワインを持ち込みできるレストランであるが、スペインに2店舗を展開しているLAVINIAの生ハムには定評があり、この日はビュッフェとして各種生ハム&フロマージュを惜しげもなく切る、切る、切る。ヴュー・ミモレットなどは薄く切っていると需要(?)に間に合わないのか、超厚切り。厚く切ったヴュー・ミモレットがちょっぴりカラスミっぽい風味を持つことを生まれて初めて知った。だがこうなるとまたもやフランス人の胃袋には火が付くのである。紙ナプキンを皿代わりに、その生ハムとフロマージュをどうしはりますのん?と言いたくなるほどの量を盛って、それらをツマミに果敢に更なる試飲に挑むのだ(しかもしっかり完食&完飲)。ああ、農耕民族はひ弱です、、、。

 既に目的を達した人達は、今度はレストラン・スペースのカウンターを陣取りモク・タイムに突入だ。カウンター横にも試飲スタンドはあるのでこれがアメリカならば彼らは即効つまみ出されるのであろうが、そこはフランス。他人を気にするよりも自己の楽しみの方に意識が集中されるのだ(こういう自己中でいい加減な集中力が、個人的には居心地が良くて好きだったりする。ところでタバコ税は今年に入り2度に渡り大幅に引き上げ、今や一箱600円近くするシロモノに。タバコ屋が強盗に遭い、メトロの物乞いのセリフに「1本のタバコ」が加わる時代なのである)。

 折しもこの日は金曜日、きっと彼らの多くは今日のシャンパーニュを豪華なアペリティフに、LAVINIAを出たらレストランに直行するんだろうなぁ。私の場合金曜日の深夜に二人っきりで食事する相手がいても問題ではあるのだが、シャンパーニュ争奪戦の余韻は何となくピチピチと楽しいもので、ほんの少し彼らが羨ましかったりする。なのでこの日はささやかな贅沢をしようと、帰途はメトロを使わずタクシーを。シャンパーニュを豪快に飲んだ後にメトロでスリに対するケチくさい警戒心を持てと言われても、所詮無理な話なのだ。

 

 ちなみにこの日出されたシャンパーニュの面々は以下!

     ビルカール・サルモン(ブリュット/グランド・キュヴェ 1990)

     ボランジェ(スペシャル・キュヴェ/グランダネ 1996)

     ドゥーツ(ブリュット・クラシック/アムール・ド・ドゥーツ 1997)

     ジャクソン(キュヴェ728/グラン・ヴァン・シグナチュール 1995)

     クリュッグ(グランド・キュヴェ)

     ローラン・ペリエ(ブリュットSA/グラン・シエクル )

     ポール・ロジェ(ブリュット/ウィンストン・チャーチル 1993)

     ルイ・ロデレール(プリュット・プルミエ/クリスタル 1996)

     リュイナール(R ブリュット/ドン・リュイナール 1993)

     ヴーヴ・クリコ(イエロー・ラベル/グラン・ダム 1995)

     モエ・シャンドン(ブリュット・インペリアル/ドン・ペリニョン 1995)

     ドラモット(ブロン・ド・ブラン)

     サロン 1995