3/8〜13

〜番外編 ローヌ・テイスティング・マラソン完走!?〜

 

今回のORGANISATEUR

 

 もちろん、Inter Rhone主催の「Decouvertes en Valle du Rhone(ローヌ発見)」である(参照:試飲会情報)。6日間でローヌを北から南まで飲み尽くす(?)移動式試飲会だ!

Inter RhoneのWeb:www.vins-rhone.com

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 

 カプリス・ド・ランスタンのジェラール氏と(参照:パリのワインショップ巡り)、幸田さん(大阪の人はこう呼びます)のマキコさんと。

 

今回のスケジュール(太字は参加した試飲会)

 

3/8

コート・ロティ&コンドリュー

3/9

コルナス&サン・ペレイ

クローズ・エルミタージュ

ヘルミタージュ

サン・ジョゼフ

3/10

コート・デュ・ローヌ:

ヴィラージュ・アベイ・ド・ブーシュ(Village Abbaye de Bouchet)

ヴィラージュ・セント・セシール・レ・ヴィーニュ(Village Sainte Cecile les Vignes)

ヴィラージュ・スーズ・ラ・ルース(Village Suze la Rousse)

コトー・デュ・トリカスタン

3/11

コート・デュ・ローヌ:

ヴィラージュ、VDNボーム・ド・ヴニーズ

コート・デュ・リュベロン&コート・デュ・ヴァントー

ジゴンダス

ヴァケラス

3/12

コート・デュ・ローヌ:

ヴィラージュ・ロクモール(Village Roqumaure)

コスティエール・ド・ニーム

リラック

タヴェル

3/13

コート・デュ・ローヌ:

ヴィラージュ・エスパス・ジャンヌ・ローラン(Village Espace Jeanne Laurent)

シャトーヌフ・デュ・パープ

 

 北はヴィエンヌ近くから南はアヴィニョンを超えニームまで、試飲会場の数、実に19!さすがツール・ド・フランスやパリダカを考え出したお国柄と言うべきか。昨年はこれのブルゴーニュ版「Les Grands Jours de BOURGOGNE(ブルゴーニュの偉大な日々)」に参加したが、移動距離の長さ、ブドウ品種の多さ(試飲が困難)等々、完走難度は更に高そうである。

試飲レース(?)が始まると、朝からシラーやヴィオニエ、南に下りればグルナッシュやムールヴェードル、クレーレット。そしてそれが連日夕方まで。覚悟はしていたがはっきり言ってこの「濃さ」は過酷である。しかし会場毎に凝らした工夫(時に歴史的建造物の中での試飲や陽光を浴びながらのビュッフェ、お持ち帰りできる会場毎に違うグラスなど)や、移動中目に入るブドウ畑や果樹園のある風景、パリとは違うダイレクトな日差し。目に入るもの、肌に感じるものは余りにも南仏なのである。イイ感じ。     

そしてサロンになると目を見張るものがあるフランス人の運営力はこの試飲レースでも遺憾なく発揮されている。一つの会場を出た時には舌も体力もヘロヘロだが、スムーズに次の会場に移動・入場でき、新しい会場に入った時にはやる気に満ちてしまう理由の一つは、彼らのこの運営力にあるだろう。

「Decouvertes en Valle du Rhone(ローヌ発見)」というこの試飲会の名前通り、人にもワインにも発見と再会がある、貴重な移動試飲会である!

 

陽光の下でのビュッフェの一コマ。シャトー・ド・スーズで行われたコート・デュ・ローヌとコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの試飲会にて。 古代ローマ人が紀元前19年頃に築いた水道橋。南仏の町ニゼス近くの水源地とニームを繋いでいた。この近くでは今でも至る所で石灰岩が荒々しくその岩肌を見せている。石灰岩はブドウにも、歴史的建築物にも欠かせない存在なのだ! 法王庁宮殿に広がる青空。シャトーヌフ・デュ・パープの試飲会はこの建物内で行われた。


 

私はここでダウンしました、、、

 

 雰囲気と己の好奇心を持ってしても、体力(舌力?)には限界があるのである。

 私がダウンしたのは、3日目。この日はアペラシオン・コート・デュ・ローヌ&ヴィラージュ名付き3連発。ひたすらグルナッシュ、ムールヴェードル、サンソー、カリニャン、クレーレット云々を試飲し続ける。そして各生産者のテロワールや、アッサンブラージュ、樽の私用の有無や用い方などで異なる風味を探していくのだが、これこそまさに修行。価格にしても蔵出しで5ユーロに満たないものの連続で、極端にお金をかけていないということは非常に乱暴な言い方をすれば、味の差違も極端には大きくならない。もちろん各生産者に個性はあるのだが、それを丁寧に利き分ける作業は非常な集中力が必要とされる。トイレに行けば鏡に映る歯は真っ黒、うがいをすればタンニンと一緒に黒い口の粘膜も剥がれていく。結構、怖いぞ。

 加えて、人混み。私は人混みが大の苦手なのだ。百貨店などのバーゲンもなるべく近寄らないようにしているのは、「人混みが嫌い」という単純な理由に他ならない。

 結局この日は3会場目で激しい頭痛に加え、口がワインを受け付けない、という私の人生で余りにも珍しい事態が勃発(熱が出ようが、骨を折ろうがとにかく今まで飲んできたのである)。事態を重く見て(?)、3会場目は試飲もそこそこに外に出て夕涼み。そしてホテルに戻り、風呂に浸かり、パーカーを見習って大量の水を飲み、食事も絶ち、10時前には就寝(夢に見るのはピノノワールや、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングといった、涼し〜いセパージュ)。

 しかし、これが効いた!朝一の会場で、ワインからカフェっぽい樽香が鼻孔を抜けていくのを前日とは比べものにならないくらい鮮やかに感じ取ることができた時の嬉しさときたら!真剣に味蕾がやられてしまったのでは、と思っていたので感謝感激、涙もの。その後は完璧復調、最後まで無事駆け抜ける(?)ことができた。

 自分の試飲体力の限界が見えた、という意味でも今回は貴重な移動試飲会だったのかも、、、(パーカーさん、アナタはやはり、エライです)。

 

最後に

 今回「完走」を目指すにははとにかく「車無し」では不可能だった。

 ずっと運転を続けてくれた(説明付き)、カプリス・ド・ランスタンのジェラール氏と、マイペースな私の行動をフォローしてくれたマキコさんに、感謝の気持ちをここに送ります。ありがとうございました。

 

追記:今回の生産者との出会いは、「生産者巡り」で後日訪問・報告予定!

 

日暮れ前の、ラストーの丘。土壌が多彩なラストーでは、似たような風景でも土の色がコロコロと変わっていく。 タヴェルの畑の石灰。そのワイン同様ピンクがかっていて美しい。