5/28〜30

〜ニュイで、開花始まる!〜

 

 

 

 

今回のORGANISATEUR

 

 5/29のアポはディジョン在住のソムリエ氏に、その他は私個人で。

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 

 畑仕事ルポ以外の普通のドメーヌ訪問は、先述のソムリエ氏とその友人と共に。

 

今回のスケジュール

 

/28

パリ発

10:00 Phileppe PACALET訪問

14:00 Domaine Prieure ROCH訪問

ジュヴレイ・シャンベルタン泊

/29

15:00 Nicolas POTEL訪問

17:00 Domaine Pilippe et Vinsent LECHENEAUT訪問

ジュヴレイ・シャンベルタン泊

5/30

8:00 Claude DUGAT訪問(終日)

帰パリ

 

 最近の「生産者巡り 裏話」の出だしは、すっかり「天気の話題」がお決まりになってしまった。そこで今回も開き直って、まずは天気ネタ。

 今週(5/26〜)に入り、パリは雨続きの先週とうってかわって、晴れ、というか暑い。そしてそれはブルゴーニュも同じことだった。

 まずは現地に入り、畑が余りにも様変わりしたことに超ビックリ!4月初旬にツンツルテンの茶色一色だった畑が、土の茶と葉の緑のコントラストが鮮やかな「初夏の畑」に大変身を遂げている。

週の初めの月曜日と今日じゃ、たった5日間でも畑の印象が全く違うよ」

とは金曜日にジュヴレイ・シャンベルタンの畑に一緒に入ったクロード・デュガ氏の長男、ベルトランの言葉だが、日中の気温が30℃近くにもなるとブドウの蔓は太陽のある昼間だけではなく、日が沈んだ夜も成長し続けるらしい。結果1日に10cm以上も蔓は伸びるのだ。恐るべし、ツル科植物のブドウ・パワー!しかも気の早いブドウのミニチュアは、既に可憐な花まで咲かせている

「この分じゃ、5日後には全開かな」

ブドウの花の命は短い。たった2、3日で散ってしまう。次回の訪問時に花全開の畑を拝むことが出来るのでは、と期待していたので少し残念でもある。

 しかし、暑い。畑に入ると本当に暑い。そしてパリと違って遮る建物のない畑ではとにかく焼ける。日焼け止めなんてささやかな抵抗でしかない。よって初日のプリュレ・ロックの畑半日で完全に「土方焼け」。水着で働きたい、と一緒に畑に入った皆が口々に言うのもよくわかる。加えてこの時期はブドウのこの急激な植生をコントロールするために、1年中で最も畑での仕事は多いのだとか。この時期は単調で地味な仕事ゆえ、やはり大変である(ちなみに肉体的に最も「キツイ」仕事は収穫後の死んだ株を引き抜く仕事らしい)。しかし、こんな時は書き手としてではなく、飲み手として畑に入ることが出来て良かった、と思う。1本のワインに詰まった「ありがたみ」が増す、ってものだ。

 だがクロード・デュガ氏にかかると、この暑さも形無しだ。

「見てごらん、この蔓の先!おっかしいねぇ。さっき伸びたばっかりなのに、もう巻き付くところを探そうとしてるんだよ。ほら、これなんかもう、しっかり針金に巻き付いているし」

そう話すデュガ氏の表情は、もう「おかしくて仕方ない」とでも言わんばかりの、満面の笑顔!バッカスに愛されている彼は、ブドウ畑の日常を丸ごと愛し、楽しんでいるのである。

 というところで、最後にデュガ氏よりここ1ヶ月の主なニュイお天気情報を。

4/10:春の遅霜による芽の被害(被害は低地の一部。主に早く芽吹くシャルドネ)

5/13−15:低温による、展葉の発育不良(この期間に展葉期を迎えた葉は一目で分かる。葉が「ちぢれ綿」のように皺っぽく、形もなんとなくいびつである)。

 これから9月までに起こり得る不安材料は、積乱雲がもたらす「雹」である。5/31、パリではまさしくこの「雹」が降ったが(初めて見た!本当に氷の粒である)、ブルゴーニュでは全く問題が無かったようだ。

 

こんなに伸びました。横に立って頂いたのは、クロード・デュガ氏の長男、ベルトランさん。彼の身長が175cmくらい。 開花!香水にして瓶に閉じこめたいほど、感動モノの良い香り!

 

やってしまいました、、、

 

念願のフィリップ・パカレ訪問!しかし、やってしまいました、、、。

アポイントの電話を入れたのは5月19日の月曜日。「次週」の都合の良い日を尋ねると「ベルギーに行っていて戻ってくるのが金曜日だから、金曜日の午後からか、土曜日の午前中なら大丈夫だよ。でも土曜日の方がいいかな」とのパカレ氏のお答え。そこで「31日、土曜日。10時半。ボーヌの駅前にて」(そう、車も持たず、カーヴの所在地も知らない私に、パカレ氏は車でボーヌ駅前まで迎えに行くことを提案してくれたのである)という約束が成立したはずだった。

 

アポを取った週末の24日、土曜日の午前中、パソコンで作業中のパリの自宅で携帯が鳴った。着信番号を見ると「06」で始まる、見知らぬ携帯番号だ(フランスの携帯番号は06で始まるのだ)。

 

―もしもし

―あろーっ!

んんん?あろーっ!?慌てて あろーっ!で答え直す私。

―マダム・オリ(私の名前は「ホリ」なので、フランス人が発音するとこうなる)?パカレです。

ん?なんでパカレ氏?アポのキャンセルだったら困るなぁ。

―今どこにいますか?

―パリです。

一瞬、電話の向こうでパカレ氏が固まっている気配が。

―僕は今、ボーヌ駅前だけど、約束、今日の10時半だよね。

えええええーっ!頭の中は真っ白だ。

―あ、あの、31日では、、、(時計を見る、げげげ、10時50分だ、20分も待っていた?)!?

 

パカレ氏の勘違いという可能性もある。だがなんせ自分のフラ語レベルに全く自信の無い私、何か相手に誤解を招くような言い方をした可能性も十二分にあるのである。ひたすら見えない相手に、謝りまくる。しかし寛容なパカレ氏、少し間をおいてから一言、「Cest pas grave(大したことじゃないよ)」。そこで今度こそ「次週」の都合の良い日を聞いて、冒頭のスケジュールにある「4/28(水) 10時」というアポイントが再成立したのではあるが、、、。

電話を切ってからも「やってもうた(大阪弁)」と、一人でつぶやくこと、しきり。「DRC醸造長のポストの誘いをも断った」と言われる男を、ボーヌの駅前で20分近く待たせてしまったのだ。「パリです」と明るく応えた時の、彼の一瞬の固まりがなんとも忘れがたい。

人間、慣れてきた頃にポカをするものである。

教訓。「アポ取り後は必ず、復唱を」。パカレさん、すみませんでした(携帯番号もメモリーに入れさせて頂きました)。

 

ちょっと、ぼやき

 

 どうにかしてくれ、ユーロ高、である。

 フランスでの私の行動資金は「円建て」なのであるが、私がフランスに到着した昨年初頭には「1ユーロー=119円」なんて今考えると夢のような時代もあったのだ。しかし!最近のこのユーロ高は何だ!?140円越え?冗談じゃねぇ(言葉遣いも荒くなる、ってもんです)。例えば、給料が1年ちょいで20%近くカットされることを想像して頂きたい。これはかなりキツイ。そして今の私の状況はまさにこんな感じなのである。

 ところで、肉も野菜も乳製品も日本より遙かに安いフランスであるが、どういう訳か卵は結構高いのである。あんなにオムレツ好きの国民がこの卵の価格を許しているのが不思議で仕方がない。そして私はなんとなく「Bio卵(6個パック2,49ユーロ)を購入していたのだが(別にBioにこだわっていた訳ではなくBio卵の方が6個パックが多かった、というシンプルな理由からである。卵って使わない時には使わない。単身者には6個で丁度良いのである)、「卵6個350円」と考えるとBio卵も考え物だ。

 そう言えば昔、近所のお好み焼き屋さんがぼやいていたっけ。お好み焼きの主材料は勿論キャベツであるが、このキャベツという野菜の価格は変動が激しく、しかし庶民の食事である「豚玉500円」の価格は据え置きにしておかなければならず、結果キャベツの相場で利益がかなり左右されると言うのだ。まぁこの状況で真っ先に「お好み焼き」を思い出してしまった自分の経済知識が情けなくもあるのだが、パリではスーパーの価格に一喜一憂している生活が現実ゆえ、思い出してしまったものは仕方ない(がんばれ、お好み焼き屋さん?!)。

 そして今回の生産者訪問時(も?)、宿泊から車といった何から何まで現地の友人の皆様にお世話になりました。この状況下、本当に助かっています。ありがとうございました。この御礼は必ずや、お返しいたします!