7/30〜31

〜カベルネ・フランとシュナン・ブランの今を求めて〜

 

 

今回のORGANISATEUR

 

 私個人で。

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 

 一人が続きます、、、。

 

今回のスケジュール

7/30

パリ発

14:00 Chateau de VILLENEUVE訪問

16:00 Chateau YVONNE訪問

ソーミュール泊

7/31

10:00 Domaine des ROCHES NEUVE訪問

帰パリ

 

 前回のロワール訪問よりあっという間に半年以上経ってしまった。ロワールは近い。でも広すぎる!車無しでこの広大な産地を攻めるのは結構難しいのである。ロワールに比べると今年足繁く通っているコート・ドールなんかは本当に小さな産地だな、と最近つくづく感謝(?)する。

 そんな中でソーミュールはノー・カー派に優しいロワールの産地である。なぜならソーミュールの駅を中心に半径15キロくらいのところに生産者が点在しているからだ。これなら歩きは無理としても、タクシーで許せる価格で移動できる(最もタクシー代がかかった時で14ユーロくらい。しかも訪問後は「駅まで送ろうか?」の生産者の皆様の暖かい申し出!ううう、ありがとうございます)。

 だが勿論足回りの良さでソーミュールを選んだ訳ではない。渡仏後ブラインド・テイスティングなどを通して「うわ、私の認識って間違えていたわ」と最も痛感させられた産地の一つがソーミュールだったのである。

上記の生産者以外にも訪問したかった生産者がまだまだいる。次回は収穫と仕込みが済んだ頃に再度トライ、である。

 

ちょっと収穫&お天気情報

 

 6月以降のワイン産地巡り。常に暑さの中をフラフラと彷徨っていた(?)ような気がする。しかし今回ロワールに来て真っ先に思ったのは「涼しいなぁ〜」。訪問した週は久しぶりにフランス全土が「少し涼しめ」だったせいもあるが、ローヌで見た黄色い光を思い出すと、この地の光はやはりなんとなく柔らかい(当たり前か)。

 しかしそんなロワールにとっても「世紀の暑さ」、そして「乾燥傾向」であることは変わりなくソーミュールに関して言えば、収穫はやはり例年より約2週間早いスタートになりそうである。ただし乾燥に対しては今回訪問した生産者達は「同じ時期に多雨であるよりは余程マシ」という意見で一致しており、ブドウが早熟であることも特に不安材料ではないようだ。先週訪れたシャンパーニュの現状が余りにも悲惨だったので、とりあえずホッ。

それよりも現時点で最も生産者達を悩ませているのは局所的な雹による被害であるようだ。そしてこの地の生産者にとっても今年はブドウの成長が余りにも早いために、畑仕事は極端にタイトかつ応用を求められるものになっている点は同じようである。「On verra(今にわかるさ)」と言われる度に「それが良い結果でありますように」と祈るのである。

 

2 minutes d'arrê(2分間の休憩)

 

 という名前の、サンドイッチ屋さんである。ソーミュールの駅を降りるとホテルに併設されたカフェやブラッスリーがポツポツと並んだでいるのだが、このサンドイッチ屋さんはそういう並びにある。

 今回のロワール訪問の数日前からなぜか妙な孤独感に苛まされ(似合わないかも?)、そうなると本来の出不精な性格が顔を覗かせるのだが、やはり「カベルネ・フランとシュナン・ブランの『今』を知りたい!」という欲求には勝てず、這うようにソーミュールに到着したのである。

 生産者と対峙した時には本能的に(?)ワイン・アドレナリンが大放出され(なんたって訪問が叶い、直々に話が聞けるのである)、感謝と情報を舌とメモに叩きつけるのだが、なんせベースがローテーション、ホテルに戻るとなんとなく「ボーッ」。俗に言う「一人飯」は平気な方なのだが、ナイフとフォークを持つ気すらしない。でもお腹は空く。そういう状況下、「2分間」というサクッとしたネーミングとこざっぱりした外観のこのサンドイッチ屋さんに、なんとなくフラフラと入ったのである。

 

 「いらっしゃいませ!」(とはフランス語では言わないが)。お兄さん(いや、同じ歳くらい?)の笑顔に腰が抜けるほど癒されてしまった。私が知っている、洋の東西を超えた最高の憧れの笑顔は毎月お邪魔させて頂いているクロード・デュガ氏のものなのだが(イヤなことがあった時には、ダンナとデュガ・スマイルを思い出す)、私自身が長く接客業をしていたせいもあり、「人を快適にする笑顔というのはなかなか作れないものである」ということは身に浸みていたので(小手先の作り笑いの術は年齢もあり、多少は身につけたが)、とにかく驚いたのだ。

 サンドイッチを食べている間も暇なので何となく店内に目が行ってしまうのであるが、たかが(失礼)駅前のサンドイッチ屋さんとは思えないくらいに、お兄さんは客が帰るたびにテーブルを丁寧に拭き(普通パリのカフェでは雑巾もどきの布で撫でて一丁アガリ!であることが多い)、帰り際のお客様にも「メルシ」と言われれば、「メルシを言うのは私の方ですよ!」なんて満面の笑顔で(でも過剰さや媚びが全く無い)答えている。

 結局1泊2日(要4食)のうち、3食はこの「2分間の休憩」へ。

 名前も知らないお兄さん、毎回美味しいサンドイッチ(正確には私が食べたのはパニーニでした)とつられて笑ってしまうような極上の笑顔を、ありがとう。2分どころか毎回20分は居座っていましたが、お陰で素晴らしい生産者達と胸を張って会うだけのエネルギー(癒し?)を20分(2分以内でパニーニ、焼けませんから)で頂いたような気がします。

 そして少々反省した。私が接客をしていた時代に、こんな笑顔をお客様に向けたことは一体何度あったのだろう???