12/2〜3

〜ブルゴーニュの一瞬の静けさ〜

 

 

 

 

 

今回のORGANISATEUR

私一人。

 

今回のチーム・デギュスタシオン

私の1人。

 

今回のスケジュール

12/2

パリ発

14:00 Domaine Jean TARDY訪問

17:30 PACALET訪問

ジュヴレイ・シャンベルタン泊

12/3

10:30 Domaine ???を訪問するも、無人!?(こういうことは初めて)

11:00 Domaine Claude DUGAT訪問

帰パリ

 

 訪問先を見ての通り、当HPの常連ドメーヌさん詣でである。というのも冬季の一時帰国を控えて、個人的に彼らの顔は拝んでおきたかったからだ。特にタルディとデュガは私が初めて「生産者巡り」を開始したドメーヌであり、彼らの親切で丁寧な対応に感動したからこそ、このHPが続いていると言っても大袈裟ではない。もし最初に出会った生産者が私のフランス語に匙を投げるような人だったら(いや、投げられて当然だったのだが)、私の渡仏の目的はワインではなく「語学」にすり替わっていたと、真剣にそう思う。

 今でもフランス語には泣かされっぱなしで(特に多人数のテーブルでは、全く会話に付いていけないことが多々ある)真剣にフランス語を磨きたい、という気持ちは根強いものの、やはりこの国にいる時は少しでも産地に赴き、生産者達の生の声を聞いていきたい、と願う帰国前の師走である。

 

サン・ヴァンサン祭り 〜来年はボーヌだ!〜

各村のサン・ヴァンサン像は、1年おきに各生産者の元で保管される。2004年、ジュヴレイ・シャンベルタン村のものはデュガ家に保管されている。言われてみれば、顔は確かにスペイン人っぽい?

11月の「栄光の3日間」も終了。ブドウ畑もすっかり葉を落とし、畑の所々ではいらない枝を焼くたき火の煙が立ち昇る。ブルゴーニュにも冬の沈黙が訪れた、、、と思いきや、そうでもない。まずはノエル(クリスマス)が控えているし、その約1ヶ月後の1月の最終土・日曜日(1/29・30)にはワイン生産者にとっての守護聖人、「サン・ヴァンサン」を祝う「サン・ヴァンサン祭り」が待っている。

ところで「サン・ヴァンサン祭り」の幹事は、ブルゴーニュにある七十の村が持ち回りで担当する(複数の村が幹事役となることもあるが、単純に計算すると七十年に一度担当が廻ってくる)。そして2005年の幹事は、ブルゴーニュの心臓であるボーヌ市である。これは何を意味するか?そう、「50年に一度」の大規模なものになりそうだ、ということだ。こう書くと何やら流星群を追っかける天体ファンのような気持ちにもなってしまうが、時に地域の財政を逼迫してしまうこともあったこの祭り、関係者筋によると、近年は「ボーヌでの開催」に向けて密かに力を溜めていたらしい。

私はまだこの祭りを見たことが無く、また2005年度も残念ながら現地に赴くことは出来ないが、祭りの当日はブルゴーニュの各村に祀られている七十体ものサン・ヴァンサン像が、美しく飾られてお披露目されるらしい。そして像はワイン生産者によって御輿の如く幹事の村まで担がれ、そのパレードの後には大人も子供もタートヴァン(利き酒用の小さな銀の小皿)を首にぶら下げて続くのだ。

祭りではサン・ヴァンサン・トゥールナン(トゥールナン=ぐるぐる廻るの意)と呼ばれるこのパレードの他、ワインを祝福するミサや様々なイヴェントもある。そして締めは当然ながらワイン飲み放題の大宴会となって、それは深夜まで続くのだとか。もっとも近年は日本と同様、フランスでの飲酒運転の取り締まりは厳しくなり、飲酒量として許されるのはワイン2杯が目安である。心おきなく飲むためには(?)、タクシーや徒歩で帰れるホテルを確保しておいた方が良さそうである。

 

ちなみに日本人にとって聞き慣れない「守護聖人」という言葉であるが、「守護聖人」とは「神と人間の仲介者」、つまり「神への橋渡し役」を担っている。となると人間の際限ない煩悩を汲み取ってあげるには当然ながら一人では足りず(?)、十三世紀以降になるとあらゆる職業に対して聖人が誕生。そしてワインの神「バッカス」に、生産者達の願いを届ける聖人とされるのが「サン・ヴァンサン」なのだ。また守護聖人として祭られるのは過去に実在した人間達であり、サン・ヴァンサンは四世紀初めのスペインの助祭であるらしい。そして守護聖人達が生きていた時代はキリスト教も受難の時代であった為に、彼らの生前は悲劇に満ちたものであることも多いそうである。