3/20

樽からワインを買う、醍醐味〜

 

 

 

 

 

 約3ヶ月ぶりにフランスの土を踏む。今回はフランクフルト経由便を選んだので(重量30kgOKの航空会社の中でルフトハンザは最も安く、直行便との時間差も2時間弱なのだ)、まずはフランクフルトに降り立つと、そこには春の陽光が。ヘソ出し&Tシャツのお姉さん達が空港の外を闊歩している。気温は22℃。暖かい!これはパリも同じで、しかも7時近くまで外は明るく、何となく嬉しい。

 しかし激しい三寒四温を繰り返すのが、フランスの春。これで喜び過ぎてはいけない。生産者達の春の苦労に思いを馳せる。そして案の定、2日後にはかなり寒くなってしまった。

来週(3/22〜)からは2年に1度のブルゴーニュの移動試飲会「グラン・ジュール・ド・ブルゴーニュ」、そして引き続き「ボルドーのプリムール」が待っている。快適な環境で試飲に望みたいと願う、再渡仏後だ。

 

樽からワインを買う、醍醐味

 

 再渡仏後いろいろとトラブルがあり、試飲会どころじゃないっ!というのが現状であったが、どうしても行きたかったのが3/20に行われたイヴェント、「樽のワインを買って帰ろう!」であった。(当HP「フランスの試飲会情報」最新版、「ワイン・ショップ系試飲会」で紹介)。これはパリのワイン・ショップ「LAVINIA」で開催され、「現地直送の樽に入ったワインを、瓶詰めしてお持ち帰り」という触れ込みであったが、

 

     誰が瓶詰めするのか?

     生産者は来るのか?

     店頭でそんなことができるのか?

     どんな感じなのか?

 

等々、過去に百貨店でイヴェントを担当したせいもあって、興味は尽きなかったのである。

 私がLAVINIAを訪れたのは午後2時前。ショップの正面玄関をくぐると、そこには3つの樽が鎮座し、その横にはコルク打ちや瓶詰め仕様の低い椅子、瓶、コルクがスタンバイ。セラーで樽を見るとそう大きくは見えないのだが、店頭にある樽の迫力は十分。こんなに大きかった?デカイ。また、お昼時だったので生産者達は出払っていたが、この日は彼らが実際に来てその場で瓶詰め・販売しているのだという。生産者達の不在時には、ショップのスタッフ達がなかなか器用な手つきでピペットを扱い、ワインを樽から抜き出して、お客さん達に試飲を薦めている。そして試飲用グラス(LAVINIAの試飲グラスは質も良い)と一緒に、LAVINIAのイヴェントではお馴染みのスペイン産生ハムが。樽のワインを飲みながら、生ハム三昧(?)。シアワセ。このショップに来ると「フランスに来て良かった〜」と単純に思わせてくれる出来事が多い。

 とにかく嬉しい企画なのであるが、特筆すべきは生産者達が、

* Dominique DERAIN(銘柄:アリゴテ)

* Marcel LAPIERRE(銘柄:シャトー・カンボンのボージョレー)

     Stephane TISSOT(Arbois)

であるということだ。ビオを代表する彼らの、しかも2003年を、パリで飲める。そしてその場で瓶詰めして貰って(当然ながら瓶詰め時のSO2添加はナシ)、買うことまで出来る!産地でカーヴを訪れて、いくらそのワインに感動しても「売ってください」ということは不可能なのだ。なんという、粋なはからい。ちなみに価格はアリゴテ=6,9ユーロ、ボージョレー=7,5ユーロ、アルボア=6,5ユーロ。ユーロ高の今でも全てほぼ1000円以下。ビールじゃないが、出来たてを自宅で安価に楽しめる、というのもウキウキする。

 私はこの日、お昼前にティソ氏が詰めたというアルボアを3本購入。普段訪れようと思いつつまだ実行していないジュラ産である、ということもあったが、何よりもこれが美味かった。軽く焼いた栗のような甘味に、柚子やレモンの皮のような爽やかさと苦味を持った柑橘が溶け込んでいて、余韻も綺麗。3本は自宅用、ワイン会用、大阪用である。パリの自宅にはセラーが無いのはネックであるが、どうにか持ちこたえてくれるだろう。それぞれの場所で「現地直送」の味わいを炸裂させて欲しいものである。

 ところでLAVINIAでの「樽のワインを買って帰ろう!」は、今回で2回目。3月はヌーヴォーではない、早く飲める新酒が落ち着いてくる頃である。来年も是非!と期待してしまう。そして今回の再渡仏時、飛行機は常に満席で、日本人の姿も多かった。学生を中心とした、ちょっとした旅行シーズンなのだろう。もしワイン好きの方ならば、このイヴェントはパリにいながら産地を感じられる、なかなか素敵なショート・トリップであると思う。

来年この時期にフランスに来られる方、オススメです。

 

店内に鎮座した、「カーヴ出身達」のこの迫力!