3/22〜27

〜春のテイスティング・マラソン その1 ブルゴーニュ・ファン必見?

Les Grands Jours de Bourgogne〜




 

今回のORGANISATEUR

 

ASSOCIATION “LES GRANDS JOURS DE BOURGOGNE”(BIVB)主催。 

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 

 カプリス・ド・ランスタンのラファエル氏(参照:パリのワインショップ巡り)、他に数人のお世話になっている方々と。

 

今回のスケジュール(青太字は参加した試飲会)

 

 

* 場所:Bougogneの各ヴィラージュに設けられた、試飲会場

 

3/22 CHABLIS ET L’AUXERROIS

Les portes d’or de la Bourgogne(ブルゴーニュの黄金の扉)

 

3/23  COTE DE NUITS/COTE DE BEAUNE

Joyaux des Chambertin(シャンベルタンの宝石)

Noblesse des Clos Vougeot(クロ・ヴージョの気品)

Vosne-Romanee millesime(ヴォーヌ・ロマネ ミレジム)

De Chambolle en Musigny(シャンボールからミュジニィへ)

Nuits d’antan(去年のニュイ)

Beaune couleurs vins(ボーヌの輝き)

Revolution du millesime 2003 

 

3/24  MACONNAIS

Terroirs des Cotes Maconnaises、en Bourgogne(コート・マコネーズのテロワール)

 

3/25 COTE CHALONNAISE

Au coeur de la Bourgogne(ブルゴーニュの真ん中)

Prestige des fleurons en Bourgogne(ブルゴーニュの花形の名声)

 

3/26 COTE DE NUITS/COTE DE BEAUNE

Carrefour de Dionysos(バッカスの交差点/モレ・サン・ドニ)

Terroirs de Corton(コルトンのテロワール)

Des Maranges au Montrachet par Santenay et Saint-Aubin(サントネーとサントーバンを抜けてマランジュからモンラッシェへ)

Elegance des Volnay(ヴォルネイのエレガンス)

Pommard rime avec Art(ポマールは芸術と共に)

Mosaique des grands jours(偉大なる日々のモザイク/ブルゴーニュのコーペラティヴ)

Salon des jeunes vignerons(若い生産者のサロン/シャブリ〜マコン)

 

3/27  COTE DE NUITS COTE DE BEAUNE

Balade en Cotes et Hautes−Cotes de Nuits(コート・ド・ニュイ&オート・コート・ド・ニュイのバラード) 

Destination Cote de Nuits-villages(ニュイ・ヴィラージュの行方)

Trinquee de Meursault(ムルソーで乾杯)

Banee de Meursault(ムルソーで拍手)

Rappel:Salon des jeunes vignerons(若い生産者のサロン、アンコール・ヴァージョン) 

 

3/28

Grandes Maisons et Grands Crus(グラン・メゾンとグラン・クリュ、招待客のみ)

 

 

 「Les Grands Jours de Bourgogne(以下LGJdB)」。1992年に始まり今年で7回目(隔年開催)。ブルゴーニュ・ファンにとって最も参加したい試飲会の筆頭が、これではないだろうか?なぜなら、

     1週間にわたりブルゴーニュの各ヴィラージュに設けられた会場で行われる試飲会は、ブルゴーニュ最大規模

     約1000の生産者やネゴシアンが出展、近年のミレジムを試飲しながら目的に応じた会話を進めることができる。

     ブルゴーニュ・ワイン委員会(BIVB)会報や、「Bourgogne Aujourd’hui(ブルゴーニュ専門のワイン雑誌)」、フィガロの特別特集など、各情報誌も会場で配布

と、まさに試飲会の名前通りに「ブルゴーニュな日々」なのだ。そして上記のスケジュールを見て頂きたい。参加していない試飲会も案外多いと思われるのではないだろうか?

 そう、この期間中はLGJdBだけではなく、ネゴシアンやドメーヌ、そして各種団体規模の試飲会も多々開催されていおり、こちらもそれぞれにかなり魅力的なのだ。私が泣く泣くLGJdBを諦め、今回参加したLGJdB以外の会場は4箇所である。

 しかしこの1週間は冷やかしで来るのには楽しいが、マジメに取り組むと修行の世界である。体力、集中力、時間ともに、自分のダミーが欲しい(?)と思ってしまうほどの「ブルゴーニュな日々」なのだ。

 

 今回も詳細は後日「生産者巡り」でレポートしたいが、まずは悲喜こもごもの「裏話」である。

 

寒かった、、、

 日本にいても知らぬ間に四季を堪能した日々を送っていたが、渡仏後ワイン産地を訪れる生活を送っているうちに「天気」は私にとってもっと切実なものに変わってきた。きっと生産者達の天候との闘いを垣間見ていることが、最も大きな理由なのだと思う。彼らが「来週雨が降ったら悲惨だ」等と言うと、産地からパリに戻ってもその産地の天気予報が気になって仕方がない。そして産地に束の間でもいる間は、彼らの知っている気候を自分でも感じて帰りたいと思う。しかし天気はこういった試飲会、特に「移動試飲会」では重要だ。なぜなら結構、試飲環境は天気によって左右されるからである。

 LGJdBが始まった週からブルゴーニュは冷え込み始め、最低気温は最低0℃かもしくは氷点下、日中もせいぜい8〜9℃である。週の後半から太陽が覗き始めたのだがいわゆる放射冷却というやつか、風は恐ろしく冷たい。コートを日本に置いてきてしてしまったのでジャケットの重ね着で凌ぐが(かなりカッコ悪い、、、)、それでも寒い。

 そして試飲会場の温度である。会場は各村にある歴史的なシャトーや集会所(?)が選ばれるのだが、収まりきらない場合は野外テントの時もあり、また開放した地上階のシャトーの場合は風が会場を見事に吹き抜け、そうなると温度は限りなく外気温に近い。結果、赤ワインの温度が10℃を切る場合が出てくるのだ。軽い目の赤ワインでも10℃はかなり香りが感じにくく、また残念だったのがモレ・サン・ドニの会場だ。ここは半分が野外テントで、そして多くの生産者が2003年のワインを持参していたのだが、「グラン・クリュ、若いワインでもよりによって酷暑の2003年」である。このタンニンを10℃以下で試飲するのはかなり辛い。残念ですね、と生産者に声をかけると

「凍えているのはワインだけじゃないよ〜〜〜、ヴィニュロンも凍っちゃてるよ〜〜〜」。

可哀相に、着込んだ彼の鼻は真っ赤でハナが垂れていた。

 彼らとそのワインの寒さも辛いが、試飲する者にとっても寒すぎると冷えは足からお腹に来て、後半は集中力を維持するのがかなりハードになる。逆に適温な会場だと、自分の集中力が増すのがよく分かる。また畑や村を眺めながらの会場間の移動は、最高の気分転換なのだ。この点でも天気は微妙である。

 昨年のVINEXPOの会場は暑すぎて、「多くのテイスターがムートンよりビールを求めた」と皮肉が飛んだ。仮設の空調が麻痺した会場では赤ワインの温度は28℃を記録し、それ以前に赤ワインをテイスティングすることを舌が求めないのである。それよりはマシだとしても、寒いのもやはり問題アリ、である。ワインには天気がついて回って離れない。そんな気がする。

 

ご注意!

 

 3/26(土)に試飲を終え、約3ヶ月ぶりにディジョン〜パリ間のTGVに乗った(往路はラファエルの運転だった)。そしてキャリーケースを置こうと車両間の荷物置き場を見て、???。荷物置き場は閉鎖されており、「安全のため」の張り紙。どうやら発車間際の置き引きや、運転中の盗難が頻発しているらしい。キャリーケースなら座席上の荷物置き場にもどうにか乗るが、スーツケースだったらどこに置け、というのか。もっともそこはフランス人(?)、閉鎖された場所の前に荷物を置いたりしているのだが(意味無いじゃん)、、、。まぁ、治安の悪さもここまで来たか、と少し残念だ。

 そして帰パリ後、このHPを読んで頂いている方からも空港〜パリ間での盗難の多さをご心配頂き、教えて頂いた手口はかなり手荒なものだった。

当HPお馴染み、グラン・クリュ・クラブ主催の須藤さん曰く(在仏20年、本業はガイドである)、そもそもシャルル・ドゴール空港は「世界一置き引きの多い空港」であるらしい。そして在フランス日本人向けの新聞などを読んでいると、やはり飛行機を降りた後というのは旅行者がほっと気が緩む瞬間であり、特に空港〜パリ間を結ぶRERという電車の使用時に事故が頻発しているという。

 言うまでもなく旅行は健康と安全があってこそ、楽しめるもの。ましてや外国語圏である。そして確実に盗難被害は増している。そこで私が知っている限りの、代表的な盗難例を。Attention(ご注意)!である。

 

〜 空港 〜

     とにかく、置き引き

〜 空港―パリ間のPER 〜

     これはスーツケースごと、かっぱらう。発車間際に荷物を盗り、ホームで待ち合わせている仲間がスーツケースを受け取り、後はリレー方式で持ち出されてしまう。

〜 メトロ 〜

     とにかく、スリ

余程の自信が無い限り、居眠りはしないこと。パリは日本ほど地下鉄での居眠りは多くない。そして片手は必ず、さりげにバックの開放部分に添えておく。これだけでも、スリにしたら「少し盗りにくい人」になる。

また日本人が買ったばかりのブランドの紙袋を持っている姿は、異様に目立つ。なぜならパリジャンにとっては、そういうブランドを買える人達というのはそもそもメトロに乗るような階級の人達ではないからで、しかも日本人の多くは数人で行動するので、「ブランドの紙袋を持ったグループ」というのは浮きまくる。そして当然標的になりやすい。そして安全を考えればリッチな買い物の後は、タクシーをオススメする。タクシーのボッタクリを心配する旨もあるだろうが、パリ市内は小さく、タクシー代が40ユーロを超えるということは殆ど無い。どう考えてもぼったくられている、と感じられる時には、ホテルの人に交渉して貰う。

     夜中のスリ

路線によって治安は違う。1号線(大阪で言う、御堂筋線みたいなもの?)はまだしも、夜中の4、11号線は、私は絶対(×100回)乗らない。そしてRERも乗り方が分かりづらく、夜中のホーム等での事故も聞くので(スリ、レイプ)、これも絶対(×100回)乗らない。もちろん利用している日本人女性もいるが、もし彼女らが私の家族や友人なら、タクシー代を渡してでも止めさせると思う。

ちなみに夜中のスリは「テクニックより、力ずく」。人気の無い車両や通路で、羽交い締めで盗られる場合もある。

〜 路上 〜

     オートバイ2人組

オートバイ2人組で、バス停待ちや、歩道の際を歩いている人に近づいてくる。後ろに乗っている人は両手が空いているので、ひったくり突き飛ばして逃走する。とにかく歩道では「車道よりを避け、バッグは車道と反対側に」。

〜 車上狙い 〜

* 残念ながら愛すべきワイン産地でも、車上狙いはある。見えるところに大切そうなものは、絶対残していかない。ビンボーそうな車に見えるのが1番である。

 

 書いていて自分が盗難の被害に遭っていないことが不思議になってきたが、心配はし出すとキリが無く、したところで安全が保証されるわけでも無い。多分これらは最低限の心がけで、でもその「最低限」が事故の可能性を低くしているのだと思う。貴重な時間とワイン資金を、ドロボー如きに渡してたまるか!である。

 

ワインの靴下

 

  ワインの靴下。聞き慣れない言葉であるが、これはフランス人がブラインド・テイスティングする時にワインに被せる、靴下状の布きれである。瓶の形はバレバレなのでそういった意味では少し厳密性に欠ける(?)が、基本的に有効だ。

 この「靴下」が厳かに用いられているワイン会に、初めて参加することに。3/26(土)に行われた「Degstation des Ambassadaurs」(処:ジュヴレイ・シャンベルタン)である。直訳すれば「使節の試飲会」?なかなかものものしい名前である。

 朝10時前、味覚が最も冴えている時間帯に会場に行くと、そこにはシャルロパン氏や、アンベール氏、そしてジュヴレイ・シャンベルタン組合長のマルシャン氏が談話しており、試飲会が始まると司会者はジャッキー・リゴー氏であった。各テイスターの座席はブースで仕切られ、ワインの色を見るためのロウソクと試飲シートが用意されている。

 リゴー氏の説明が始まる。テーマは「2001年のジュヴレイ・シャンベルタンのヴィラージュ、プルミエ・クリュ、グラン・クリュをブラインドでジャッジする」。結果はあの「ラ・レヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス」や「ブルゴーニュ・オージュデュイ」(ともにフランスとブルゴーニュを代表する人気誌)に掲載される予定だと言う。フランス内外から集められたテイスターは約30人。銘柄は13種類で、もちろん「靴下」をすっぽり被っている。なぜそんな場に私が呼ばれたのかは謎であるが、とにかく試飲が一斉に開始された。

 「他人に影響されないように」という配慮の下、テイスター数人単位に専任のソムリエが付き、試飲は完璧に各自のペースで行われた。学生時代に栄養士過程を選択していたために「味覚の官能検査」という実験をよく行ったが、会話が無く黙々と試飲が進められる様子はまさにその雰囲気で、静か&マイ・ペースな試飲が好きな私にとっては、今回最も集中できて楽しめた試飲であった。取材者側は私を楽します為に呼んだのではないであろうし、こういう試飲は手間もかかり目的も異なるので頻繁に開催できるものではないと思うが、こういう「靴下ワイン会」にもっとお呼びがかかるように現地で努力したいものである。

 ちなみにコメントは基本的にフランス語表記。最悪でもフランス語。私のメチャクチャなフランス語が文章として成立し、真意が伝わってコメントとして有効であることを祈るばかりだ。

 

最後に

 

寒空のポマールの畑

 今回車の運転を始め、全てのフォローをして頂いたカプリス・ド・ランスタンのラファエル氏に、感謝の気持ちをここに送ります。

氏のお陰で参加したい試飲会に参加できただけではなく、生産者達とのプライヴェートな食事や時間を楽しむことが出来ました。本当にありがとうございました!!!