5/25〜28

〜意外なところで、ルドルフ・シュタイナー〜

 

 

 

 

今回のORGANISATEUR

 

私個人で。

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 

時々、ブルゴーニュの知人達と合流。

 

今回のスケジュール

 

5/25

パリ発

18:00 Domaine Claude DUGAT訪問

ジュヴレイ・シャンベルタン泊

5/26

10:00 Domaine Armand Rousseau訪問

18:00 Domaine Emmanuel GIBOULOT訪問

ボーヌ泊

5/27

10:00 Philippe PACALET訪問

15:00 Domaine CHANDON de BRIAILLES訪問

18:00 Domaine de CHASSORNAY訪問

ボーヌ泊

5/28

10:00 Domaine de lARLOT訪問

帰パリ

 

 この週は前回の裏話で書いた、「パソコンの救世主」の皆様方とブルゴーニュや、GCCの試飲会で時折合流。折しもフランス各地は日の長さに加えて快晴が続き、パソコンのみならず大阪時代にもお世話になった彼女たちのフランスの思い出が、辛気くさいものにならなかったであろうことは何となく嬉しい。そして開花を控えた畑では、いよいよ作業が忙しくなり、スケジュールをご覧の通りに「1日の作業を終えた後」の18時を指定されることが多くなってきた。

 ところで先述の彼女たちは、「左ハンドル・ミッション・左通行・見知らぬ道」をものともせず、果敢にブルゴーニュでもレンタカーを走らせていた。方向感覚と運転能力を持ち合わせずに生まれてしまった私にとって、これは驚異である。最終的にパソコンの次はブルゴーニュでの移動を助けて頂くことに。現地に住んでいながら、アテンドに関しては全く役立たずの私である、、、。

 

意外なところで、ルドルフ・シュタイナー

 

 ワインとは別の仕事で、「ヨガ」を調なければならない日々が続いた。資料を探すために怪しげなものも含め(?)かなりのヨガ関連サイトをネット上で渡り歩く中、思惑外に目にしたのが、この人、そう、ルドルフ・シュタイナー氏の名前である。私自身はワインに携わっているからこそ氏の名前は「ビオディナミ」という考えを通して知ったのであるが氏は元来、思想家であり、特に「東洋の神秘主義に精通していた」と時に批判も込めて言われた人だったのだから、考えてみればヨガ関連サイトに頻繁に出てきても、別に不思議ではないのかもしれない。

 私自身は余りにも非科学的なことや、加えてそれに妙な解釈を付けられて宗教めいたことを説かれると、かなり引いてしまう方だ。なので「宇宙の生体力学」と「農業」を組み合わせてしまうことには、根拠や結果が無い限りかなり疑い深くなる。しかしワインを一歩離れてルドルフ・シュタイナー氏の実績を追ってみると、妙にニコラ・ジョリィ氏の言いたかったことが理解出来るから面白い。なぜなら西洋人であるシュタイナー氏が、東洋人にとっては普通の概念である事柄を解釈していく過程は、東洋人にとっても「ふ〜ん」と目鱗な根拠があるからだ。それは、ビオディナミにおいて月はともかく星座はどうか?と思われる箇所でも同様である(もっとも、鵜呑みにはできないが)。

 

 ところで日本語が全く通じないフランス。しかし妙な日本語は普及していたりする。フジ、ハラキリ(フランス人が発音すると「アラキリ」)といったものは無視して、新しいものではルイ・ヴィトン効果による「カワイイ」。そして「ラスト・サムライ」以前から流行っているのが、意外なところでZEN(禅)や、ごく一部でKI(気)。ちなみにフランスで「ZEN」が意味するのは「自然(ナチュラル)=体に良い」「簡素(シンプル)=無駄な介入が無い」、それが転じて「クール」。ん?「クール」はさておき、何となくZENは、ビオっぽいではないか。またKIは「宇宙や生命のエネルギー」。う〜ん、まさにビオビオだ!

 そこでアポイント先であるエマニュエル・ジブーロで本人を待つ間、先に畑仕事から帰ってきた人達に、試しにKIの話題を振ってみた。おおお、すると盛り上がる、盛り上がる!!!

「畑とはKIが満ち溢れた場所である」

というのが、結論となったが、感覚的に分からないでもない。ずっと畑に立っていれば、何かが起こってしまう前に、ふと「感じる」説明不可能な予感なんかはあるだろう。また健康な土、樹から生まれた一房のブドウ、それらがワインに変わる過程に付き添っていれば、「エネルギーが移し取られていく様」とは肌で感じるものなのかもしれない。そう言えばパカレ氏はよく「エネルギーの動き」という言葉をよく使う。物理を学んだ氏は論理的にもそれを説明するが、私にはもっと思想的なものに聞こえる時がある(今度氏にお会いしたら、KIの話を振ってみようかな?)。

そして畑帰りの人たちとの話は、ルドルフ・シュタイナーに戻っていくのであった。

 ともあれ難解と言われるルドルフ・シュタイナーの本であるが、一度じっくり読んでみるべきか、と思ったりする今日この頃である。

 

馬、徐々に

開花は約2週間後?ロマネ・コンティの畑にて。

 
以前このHPの「生産者巡り」でも紹介した「エキパージュ」代表、エリック・マルタン氏。氏は馬でブドウ畑を耕作する人である。

 この氏とロマネ・コンティの前でバッタリ再会。初夏は「鋤入れ」が重要な時期で、この日の氏の予定を聞くとまさに夜明け前から日没まで、びっしりと埋まっていた。日差しが厳しく疲労が著しい昼下がりのシエスタが、唯一の休憩時間であるようだ。そんな氏曰く、

「また、同業者がブルゴーニュに増えたんだ。今度は女性で、1頭の馬を飼って仕事をもう始めているよ」

え、女性があの仕事を!?だ。それは余りにも過酷ではないか。

「確かに体力は要るけれど、彼女の仕事は丁寧で評判が良いのだから、問題は無いだろう?」

ごもっともで。どんな女性なのか、少しお会いしてみたい気がする。

 馬、徐々に復活である。全体的に見れば一人増えたところでそう変わるものでもないだろうが、「この仕事を志す人が増えている」という点に、無視出来ない流れを垣間見てしまう。そしてやはりエリック・マルタン氏始め、「なんで今更、あんなに効率の悪いことを」という目で見られたこともあるであろう先駆者達が、結果を出していることに敬意を払いたい。

 もしかしたら10年後のブルゴーニュ、初夏の畑には馬の姿を結構見るかもしれない?である。