7/9

〜約1年ぶりの、ロワールにて〜

 

 

 

今回のORGANISATEUR

 

ドメーヌ・デ・ボア・リュカ(Domaine des Bois Lucas)の新井順子さんのご協力にて

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 

私の1人。

 

今回のスケジュール

 

7/9

パリ発

10:00 Domaine des Bois Lucas訪問

14:30 Clos Roche Blanche訪問

帰パリ

 

 涼しすぎ。しかも通り雨多し。日本から来るメールは「34℃!」「37℃!」のオンパレードだというのに。少なくともフランスの北半分で夏至以降に見るファッションは、上着(革ジャンやスプリング・コート、時に綿入れ!)、ストール、ブーツが大半である。パリ在住のある知人は先日とうとう、暖房を入れたのだとか!!!

 到着したロワールも日が差せば半袖可だが、午前や日陰は肌寒い。今回訪問させた頂いた新井さんによると、ロワールでは3年連続猛暑が来ることはないと言われているらしく、この法則で行くと昨年の酷暑、一昨年の暑いめの夏の後では、今年は冷夏ということか(しかし今年の収穫にかける新井さんの勢いを見ていると、それは「気候の法則」をひっくり返さんばかりであった。詳しくは「生産者巡り」で、後日報告)。また先述の「暖房を入れた知人」によると、7月の前半は「こんなもん」らしい。

 ともあれブドウの成熟期には、さんさんと日が降り注ぎ、適度な水分が土中に残る程度に、カラリとした気候が訪れて欲しいものである。

 

樹齢110年!

 

樹齢110年。樹の曲がり方一つに、歴史を感じながら。

 午後の訪問先であるクロ・ロッシュ・ブランシュの畑にて、樹齢110年の樹とご対面(セパージュのメモを忘れてしまい、スミマセン!確認後、後日生産者巡りできちんと、、、)。

 私が見た「100年超え」の樹は、これが3回目。最初はグラムノンの「メメ」の畑、2回目がドメーヌ・エクストガラヤ(イルーレーギー、シュッド・ウェスト)だ。

 これらの樹々は、ちょっとした歴史的建造物を見る時よりも私にとっては、感慨深く感じられてしまう。腰の位置にも満たない節くれ立った株に、100年以上の風雨と幾多の人の手が刻み込まれているのである。しかもこの100年という期間には一般的に推測できるものだけでも、フィロキセラを始めあらゆる病害、2度の戦争、そして昨年は「100年に1度」と言われる世紀の酷暑、、、等々が樹々を襲っているのだ。雹害なども考慮すると樹々は強運の持ち主(?)とも言え、加えてドメーヌの方々の毎年の苦労を辿れば、1本の樹だけで物語が書けてしまうのではないだろうか?また最近2冊の本を読み(「ワインと戦争」飛鳥新社、「ワインをつくる人々」新評論)、それらが共にブドウ畑とワインを通して歴史を振り返るものだったために、余計に100年以上もの間「生き抜いてきた」樹々に思いを馳せてしまうのかもしれない。

 ちなみにこの樹々はクロ・ロッシュ・ブランシュによって「完全無農薬」で育まれてきており、新井さんのドメーヌ・デ・ボワ・リュカはクロ・ロッシュ・ブランシュの一角を譲り受けたものである。新井さんの言葉を借りれば、「自然によって鍛え抜かれた、完璧に体育会系の畑」。

 無農薬やビオを完遂できない生産者を責める権利は、私には全く無い(何せ私自身が決してマメではなく、もし私が生産者だったら安易な方法にたやすく流されてしまいそうな気がする)。しかしブドウ樹本来の生命力を目の当たりにした時、やはり一つの明確な答えは存在する。土とブドウ樹。守るも殺すのも関わる人次第だと思う。