裏話 3月

〜Sula Wines パリで出会った 、気になるインド・ワイン〜

 



 

 

昨年私が出会ったワインの中でも、ラベルの印象はダントツ?

 ワイナート22号でも取り上げて頂いたインドの新星「Sula Wines(スーラ・ワインズ)」。そこで雑誌では紹介しきれなかった肝心の「味」に少し触れたい。

 

 このワインの存在を知ったのは10月24日、当HPではお馴染みのパリのワイン・ショップ「LAVINIA」で開催された「世界のワイン」と称するソワレである。このソワレは残念ながら日程が合わず参加できなかったが、招待状にある「インド」の文字に好奇心を掻き立てられ、後日ショップまでワインの顔をまずは拝みに行ったのだ。ワインの顔も一度見たら忘れられないものであったが、スタッフ押しも強く「ソムリエのオススメ」の地位も勝ち取っており(?)、そこまで「美味い」と言われると、これはもう飲むしかない。しかも価格は13ユーロ(約1700円)。好奇心を満たすにはフトコロに優しい価格帯である。早速日本に直送し、帰国後ダンナ(このHPのWebmaster)と一緒に開栓。う〜ん、はっきり言って美味すぎ!インドでワイン?な猜疑心を軽くうっちゃてくれる出来なのだ!

 

 品種はソーヴィニヨン・ブラン。爽やかな柑橘と白桃の柔らかい甘味を伴った香りと一緒に、この品種らしい青いハーブ(特にエストラゴン)、そして何よりもこのワインを魅力的にしているのは、何とも言えないミルクっぽいニュアンス(少しマロラクティック発酵をさせているのかもしれない)。口に含むと香りの印象そのままの、果実の酸、上品な甘味、チャーミングな丸みが溢れており、非常にバランスがよい。こうなると後は開栓後この魅力が持続するか、なのであるが、杯を重ねるたびに少しずつ開いて行く様は楽しいフランス・ワインを飲む時と同じ経時的な変化があり、全く単調ではなく飽きることがない。またサード・ワールドのワインに時折見られがちな過剰さも感じられず、センスの良さ、衒(てら)いの無さはとても飲み手に優しいものだ。ちなみに我が家ではフランソワ・コタ用にキープしていた、とっておきのシェーヴルを思わず切ってしまったほどである。もちろんコタ、ひいてはロワールにあるミネラルとこのワインにあるものは違う。だがロワールやボルドーではない、また他のサード・ワールドでもない、「飲んだことのない」ソーヴィニヨン・ブランの魅力がきちんと確立されており、それが結果的にシェーヴルを食べたい気持ちにさせたのだ。そしてワイナリーやLAVINIAが提唱する「タンドリー・チキン」や「ココナッツ・ベースのカレー」、そして個人的にはヨーグルトを使ったカレーなんかも合うのでは、と想像する。

ワイナリーのサイト(www.sulawines.com)やショップから頂いた資料によると、元シリコン・ヴァレーのエンジニアであったというラジャヴ・サマント(Rajav Samant)氏がワイン造りを決意した時、気候や衛生面のハンディを抱えながらもインドにとっての「新しい文化」を守り育てるということは、すなわち「国際的に通用するワインを造る」ということであったという。そしてその意志はきちんとワインに昇華していると私は思う。ちなみにワインはフランスだけでなく、イタリアやアメリカにもその味を認められ、輸出されているということだ。ダンナはこのワインに惚れ込む余り「インポートしたい」と叫び出す始末であるが、もし私がインポーターだったらフランスで出会えたのも何かの縁ってことで、やはりラジャヴ氏にラヴ・コールを送っていたと思う(もしかしたら情報に早い日本のインポーターが既に輸入した実績があるのかもしれないが、私が調べたところまだ未輸入。あれば、すみません)。折しも日本はヨガなどインド絡みのブームもあり、追い風を受けて日本でもその味を知らしめてほしいものである。

 

ワインの印象とは飲む度に環境によって微妙に変わるものなので、次回はパリにて当HPお馴染み「GCC」のメンバーで試飲予定である(もちろんブラインド・テイスティング)。皆の反応はいかに?レポート第2弾を乞うご期待!!!

 

(参照)

現在ショップに並んでいる銘柄はソーヴィニヨン・ブランのみであるが、スーラ・ワインズで生産しているワインは以下。サイトより抜粋。マリアージュの提案にもそそられます、、、。

     スーラ・ブリュット: シャンパーニュ方式で醸造・熟成したブラン・ド・ブラン。タンドリーやビリヤニと。

     カベルネ・シラー(赤): カベルネ・ソーヴィニヨン80%、シラー20%。ティカ・ソースのタンドリーやライト・スパイスのカレーと。

     ソーヴィニヨン・ブラン(白): ココナッツ・ベースのカレーと

     ロゼ: ジンファンデルで造ったブラッシュ・ワイン。鳥系やスパイシーな料理と。