10/25〜28

〜 乾燥の置き土産 〜

 

 

 

 

今回のORGANISATEUR

私一人。

 

今回のチーム・デギュスタシオン

私の1人。

 

今回のスケジュール

10/25〜28まで、コート・ド・ニュイ中心に計11件。

 

 暖かい、と言っても田舎は冷える。そう思って軽めのダウンジャケットに、予備のセーターまで完備したのに、ああ、暑い!

 今回のブルゴーニュは10月も後半だというのに、日中は25℃を超える日もあった。田舎というのは日が差すと、都会よりも劇的に体感温度が高い。空を遮る建物がなく、また建物が出す恒常的な熱気にも左右されない。そんな環境だからブドウ畑も、太陽に翻弄される存在なのかもしれない。

 

世紀の「黄金の丘」!?

 コート・ドールが文字通り「黄金の丘」となるのは、収穫の喧噪もほぼ済んだ、10月の前半だ。その後は落葉が始まるだけでなく、剪定準備や予備剪定(その年に実を付けた枝を切り落とす)が始まり、やはり葉は枝ごと切り落とされてしまう。だから今回の訪問、10/25日以降というのは紅葉の終盤ゆえ、風景の美しさを余り期待していなかった。

 しかし、畑はまだ黄金色。ピークはやはり2週間ほど前だったというが、美しい。今や当HPお馴染みになりつつある(?)、シャトー・ド・ポマールの栽培責任者ド

 
二番なり(三番なり?)ブドウちゃん(樹のごく上の方)も、まだ元気(撮影日時:10/26午後4時半頃)

ミニク・ギュヨン氏曰く、

「今年のピーク時の紅葉は、自分の記憶の中でも最も美しかった紅葉の一つ」。

理由を尋ねると収穫時期から続いている乾燥と、もともとミレジムとして病害(葉にも現れる)が少なかったことが関係していると思う、と答えてくれた。確かに例年、10月上旬は雨も降りやすく、一雨毎に葉は落ちていく。そして土が生きていればそれらは腐葉土として地に戻る。

 

 最終的に2005年は「乾燥したミレジム」であった。今回訪問した生産者の中には、区画によっては、この乾燥が原因で収穫を諦めた場合もあったほどだ。だが全般的に見れば、この乾燥はギリギリのところでブドウ房へは優位に働き、それが紅葉シーズンにも現れたという訳だ。

 ところでブルゴーニュの2005年が「期待大」のミレジムであることは、既に幣HPでも述べてきた。なぜなら何よりもブドウは健康で、腐敗果はダントツに少ない。そしてここまで健康ならば、好奇心溢れる生産者ならば、ちょっとした実験もしてみたくなる、というものだ。

 ある生産者(誰か?ということは又、別の媒体でのお楽しみ)は、ブルゴーニュ・ルージュの一畝を敢えて収穫しなかった。

「余りにも健康ゆえ、この状態がいつまで続くのか、またどんな変化が起こるのか確認してみたかった」のだという。この一畝分のブドウは、醸造も順調に進めば、先に収穫したブルゴーニュ・ルージュにアッサンブラージュされる予定である。実際にこの畑のブドウを食べてみた。驚くくらいに甘い。また摘み残されたブドウにありがちな腐敗果も、「粒単位」で皆無に近い。そして時間があれば色々な畑を歩き回りながら「グラピヨン」(収穫されない、一番成り以外のブドウ)もかなり食べたが、味覚的な甘さこそ2003年には劣るものの、やはり健康に育っていた。恐るべし、ギリギリの乾燥、である。

 だが先述のドミニク・ギュヨン氏は、このまま乾燥傾向が続くことを懸念する。2003年の酷暑と乾燥、2004年の病害の多さ、そして2005年はまた乾燥。ブドウ畑は「疲れが溜まっている」というのだ。2005年の素晴らしいブドウ房は、ブドウ樹の生命力が渾身の意地を見せた結果とも言える。

天候は人間が思うように変えられるものではもちろんない。だがブドウ樹の長い一生を考えると、2006年はブドウ樹が少し「楽」ができる天候であった方が、良いのかもしれない。

 

マルサネのあるブルゴーニュ・ルージュの区画にて。見事なほどに元気なこれらのブドウは、11月上旬収穫予定(撮影日時:10/25午後5時頃)。「他の人に勝手に摘まれないように、と、人目に付かない真ん中の列を選んでいるところが涙ぐましい。 ジュヴレイ・シャンベルタンにて。リュショットの上部端から、クロ・サン・ジャック、カズティエ方面を眺める(撮影日時:10/26午後4時半頃)