3/19〜23

〜2年に一度、ローヌ最大規模の試飲会

Decouvertes en Valle du Rhone(ローヌ発見)」にて その2


 

 

 

キャラフと言うと、どうもかしこまったイメージがまだあるが、むしろ実用的な道具であることがよく理解できる(?)場面。ドメーヌ・ダントナン(Domaine Antonin、コート・デュ・リュベロン)のスタンドにて。このドメーヌはマロラクティック発酵も行わず、SO2も使用しない。木イチゴのような生き生きとした酸が印象的なワインだった。ところでローヌやブルゴーニュでは、ボルドーとはひと味違う、個性的な生産者の素顔を垣間見ることができるのも魅力的である。

「その1」で述べたように、インターローヌ50周年でもある今回の試飲会は、周到に用意されていたはずである。しかしそれでも、全アペラシオンを円滑に運営するのは容易くはないようだ。その一つが今回の、シャトーヌフ・デュ・パープである。

 南ローヌの王として君臨するこのアペラシオン、普通なら後半の日程を華々しく飾っているはずである。しかし最初に手元に届いた日程表(3/19〜23)にはなぜかシャトーヌフ・デュ・パープの名前は無かった。最終的に試飲会の参加申込者にインターローヌ側から「24日にシャトーヌフ・デュ・パープ追加!」の案内が届いたのは3月上旬。しかし参加者側は最初の日程に併せて仕事のスケジュールを調整し、同時に早割などで移動経費などを節約している場合もあり、「2週間前に言われても、、、」と参加を諦めた人も少なくないようだ。私や同行者もこのパターンで、しかしここまで来てシャトーヌフ・デュ・パープ抜き、というのは片手落ちなので、結局数人の生産者を直接訪問した。組合間で意見の相違が生じたのでは?というのが、あくまでも参加者側の「推測」であるが、せっかくここまでの労力を払って行われる試飲会である。こういった事情で動員力が落ちるのは勿体ない。

 

 

そう、参加者側も経費は常に節減したいものだが、それはインターローヌ側も同様なようだ。会場の設置、運営員の確保、膨大な資料、各会場に設けられたビュッフェ、、、。ローヌだけではなく、この手の移動試飲会で主催者が見せる組織力は目を見張るものがあり、大阪人としては「一体いかほどの経費が?」と考えてしまったりするのだが、削られるものは削られる。その一つが試飲用のグラスである。前回は各アペラシオンのロゴを入れたグラスは、各会場でお持ち帰り自由で、1万人を超える参加者が持ち帰ったグラスは膨大なものだったと思う(パリの我が家は、ブルゴーニュやローヌのロゴ入りグラスだらけである)。しかし今回は、グラスは完全回収制。いや、いいことだと思う。次回を期待する参加者の一人としては、主催者の負担が少しでも減り、次回へ予算を蓄えて頂いた方が嬉しい(まぁ前回、少なくとも10個はグラスを持ち帰った私が言うのも矛盾しているが)。

 ともあれ毎回、移動試飲会では得るものが多い。それは生産者から直接伺える情報だけでなく、ブドウ畑の風景や空気は、確実に飲み手に、ワインに対する理解を深めさせてくれるからだ。ワインというのが国際的な市場を持つ飲み物であるからこそ、こういった試飲会は成立するのだろう。しかし例えば、日本。日本酒や焼酎で、こういった大規模な移動試飲会があれば面白いと思うのだが、いかがだろう?