裏話2月

〜 ワインオークションに行ってみる。さて価格は? 〜



 

 

 たまにネットでワイン・オークションのニュースなどを目にすると、DRCなどの落札価格には溜め息ばかり。もともと飲める機会なんて非常に少なかったワインたちが、いよいよ永遠にサヨウナラだ。それに私自身、競り落としたり、価格交渉しなければいけない買い物は苦手。よって普段は、オークションとは縁のない生活を送っている。

 しかしオークションの達人(?)である、弊HPでもお馴染みの須藤氏(グラン・クリュ・クラブ)は、果敢にオークションを攻め続けていた。パリはもちろん、地方都市へも、リストに興味深いものがあれば迷いなく足を運ぶ。氏いわく、電話やネットでの参加が少ない地方都市のオークションは、競り落とせる勝率が高いらしい。そこで私も久しぶりに、氏にひっついてオークションに参加することにした。

 

 到着したのは、ディジョン。オークション会場といっても、華やかさはまったく無く、地元の集会所といった感じ。参加する人たちも、気合いの入ったバイヤー風情の人は皆無。せいぜいレストラン関係者らしき人がいるくらいだ。また地元にワイン同好会(?)でもあるのだろうか、仲の良さそうな若者たちが楽しそうに談笑し、ベビーカーを押した主婦もいる。オークション前には簡単なオツマミとワインも振る舞われ、とてもノンビリとした雰囲気だ。出品されるワインは事前に状態をチェックできるので、私もクレマンを飲みながら、競ってみたいワインを点検する。なかには「こりゃ、ないだろ」と思うような、液面が激減りしているワインもあるが、ワインフェアに来たみたいでなかなか楽しい。

 

出品されたワインの状態を確かめる。 アンリ・ジャイエは盗難防止か、ガラスケースの中。状態は良好。


 予定時間より20分ほど遅れて、オークションが開始。この雰囲気の中でも、やっぱりロマネ・コンティなどは平気で50万円を超えたりするのだろうか?

DRC、ジャイエ、ルロワの落札価格は以下(落札価格に、オークション手数料として約16%が上乗せされる。また価格はロットによって異なる)。

 

DRC

ロマネ・コンティ 1976: 2800ユーロ

リシュブル 1976: 500ユーロ

ロマネ・サン・ヴィヴァン 1979: 420ユーロ

ロマネ・サン・ヴィヴァン 1973: 310ユーロ

グラン・エシェゾー 1979: 350ユーロ

 

アンリ・ジャイエ

エシェゾー 1985: 1650〜1700ユーロ

ヴォーヌ・ロマネ クロ・パラントゥ 1992: 950ユーロ

ヴォーヌ・ロマネ クロ・パラントゥ 1988: 500〜750ユーロ(500ユーロのものは液面が低かった)

 

ルロワ

リシュブル 1996: 610ユーロ

ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ ブド 1997: 130ユーロ

ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ ボーモン 1997: 130〜150ユーロ

ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ ボーモン 1996: 210ユーロ

ジュヴレイ・シャンベルタン プルミエ・クリュ コンボット1997: 140ユーロ

ムルソー ナルヴォー 1999: 105ユーロ

 

 DRC、ジャイエ、ルロワの価格は、ワインとは思えない近年の価格に麻痺してしまったのか、おお、安い!と思ってしまう。電話やネットでの参加が少ない地方都市のオークションであったことが、この価格に留まった1番の理由だろう。須藤氏によると、電話やネットの参加が激しい著名オークションになると、価格はあっという間に落札予想価格を軽く上回ってしまうらしい。まぁ最近は高級ワインを購入することがほとんど無くなってしまった(できなくなった)私としては、昔の価格が懐かしくなったりするのだが。

 ちなみにオークションでは、けっこう盗難も多いらしい。それは会場での盗難であったり、出品者や購入者がワインを運ぶ輸送経路であったり。確かに高級ワインが出品されることが告知されるオークション、狙われても不思議ではない。ワインを競り落としても、無事にワインを自宅のセラーに運ぶまでは気が抜けない。これだけの労力と時間(地方都市は移動距離もばかにならず、宿泊を余儀なくされることもある)を使ってワインを手に入れ、パリはもちろん、日本は北海道から福岡までワイン会を開催する須藤氏。そのバイタリティにはとにかく頭が下がる、、、、。