ル・ルージュ&ル・ブランの、編集部入れ替えについて


 

 

 まずはこのレポートのタイトルである「入れ替え」は半年近く前のことであり、報告が著しく遅れたことのお詫びをここに述べたい(恥ずかしくも私は購読料を振り込み忘れており、当然ながら雑誌は手元に届いていなかったのである、、、)。この雑誌に関する幣HPでの更新は、結局たったの2回であったものの、雑誌の姿勢や記事の内容には共感の声も幣HPに届けられており、私自身も「いつかは」この雑誌の日本への本格的アピールが出来るのでは、と密かに考えていたのである。ともあれ本当にすみませんでした。

 

さてル・ルージュ&ル・ブランは74号(2004年夏号)より、新しい編集部が続投することになり、「季刊誌」「スポンサー(業界関連の広告)無し=雑誌としての自由・公平性を保つ」という姿勢は貫かれるようである。 

しかし私がル・ルージュ&ル・ブランを幣HPで紹介したいと思ったきっかけは、「20年間スポンサー無し」という姿勢に驚いたこともあるが、スポンサー無し故に編集部がワインを語る時に、無意味な美辞麗句や難解な言い回し(フランスにありがちなスノッブな理屈のこね回し)、そして言い訳も無いところにあった(フランス文化を知らないと理解できないような揶揄は、日本人の私にとっては少々馴染みにくくはあったが)。つまりプロのテイスター達が持てる能力を駆使して、純粋に、時に辛辣に歯に衣着せず語り合い、「ワインを教える」のではなく、「ワインを広めたい」という素朴な心意気が垣間見え、それは消費者と生産者に対する真の愛情に感じられたからだ。分からないことを分からない、と書き切る潔さも好ましく、また日本国内での購読者がいるにもかかわらず、「幣HPで、タダで記事を転載したい」という、私の超あつかましい申し出を快諾してくれた前・編集長ミシェル・タミジエ氏にも、非常に感謝していた。

 

交代劇に言及するには、前・編集部と現・編集部の双方の意見を聞かねばならず、ここでの発言は最小限に留めたいが、とにかくタミジエ氏はル・ルージュ&ル・ブランに見切りを付け、退陣した。なぜならタミジエ氏は現・編集部に、「物事をそのまま正確に伝える」というジャーナリズムの基本が見出せず、それは発信側が陥りうる「勘違い教師のような自惚れ」に感じられたからだそうだ。遅ればせながら「新・ル・ルージュ&ル・ブラン」を手にした私の個人的な感想も、タミジエ氏に準じる。そう、平たく言えば、あの愛すべき消費者視点の生真面目さが失われ、妙に説教臭く(自己顕示欲が強く?)なってしまった。

幸いにもタミジエ氏は「自然派ワイン」や「真の生産者」に通じた人で、近々氏の貴重な意見を別の媒体で紹介することが出来そうである。また更新が皆無に近いこのコーナーではあったが、これをきっかけに、タミジエ氏の言葉をこのコーナーで取り上げていくことができればと思う。次回の更新を気長にお待ち頂ければ、幸いです。