小さなワインニュース 9月

〜 ブルゴーニュで、例年より早めの収穫始まる 〜

 

 

 
  9月上旬に最渡仏。今年もドメーヌ・クロード・デュガで収穫に参加するが、デュガでの最終的な収穫開始日の決定は9月15日(木)。これは昨年より10日早い。そう、今年のブルゴーニュの収穫時期は全地域で早いのだ。

 

 ここでブルゴーニュワイン事務局(BIVB)からの8月29日付けプレス向けDM、「収穫前の概要」を要約すると、

 

 ブルゴーニュ全域(マコネ、コート・シャロネーズ、コート・ド・ボーヌ、コート・ド・ニュイ、シャブリジャン/オーセロワ)の収穫は過去12年の中で比較的早めの収穫開始、9月10〜15日頃が見込まれている。早めの収穫が行われたミレジムは、過去の結果から見ると良い品質であることが多い。また収穫量は、ここ数年の平均よりやや低めになるだろう。

 今年のブドウの成熟期の天候を全般的に振り返ると、夏に十分な日照量が得られ、同時に7月以降の夜はひんやりとしていた。また乾燥状態にあった畑も、タイムリーな8月19日の雨で適度に潤い活力を維持させ、場所によっては上手い具合に成熟のスピードを下げさせた。

 

 BIVB新会長、ミシェル・バルダッシーニ氏によると(同氏はマコネに在するリュニィの協同組合の社長であり、ブルゴーニュ農業会議所のブドウ栽培委員会長も兼任している)、

― 先日の雨は、まさに素晴らしい時期に降ってくれたと言える。ここ数日のブドウの成熟を見守っているところだが、全てのコンディションは生産者たちに偉大なミレジムを期待させている。

 

 またピノノワールとシャルドネというセパージュ全般に見ても、「非常に期待が持てる」。

 BIVBの技術部門理事、マダム・オディール・ムルギュ氏は、

― 両セパージュとも、夏に絶え間なく吹いた北風によって、房間の通気が非常に良好に保たれた。病害から免れた畑の衛生状態は素晴らしい。ピノノワールは全体的に果皮に厚みが生まれ、これは十分な色調と骨格をワインに与えるだろう。ブドウの糖度は既に十分なレベルになっている。後は成熟の最終段階であるこの時期、糖度と酸度のバランスを注意深く見守りたい。

 

 この原稿を書いている9/11(日)現在、収穫は更に早まる傾向にあり、ボージョレーの収穫公示日は9/5日であった(ボージョレー委員会によると、最も早熟の区画は特例で公示日より早い収穫が許可された)。ドメーヌ・クロード・デュガ含む、幾つかのドメーヌからも8月下旬の収穫開始予想を、さらに1〜2日早めた、という声を聞く。全てのレジョンの公示日やこの早さの理由は、収穫から戻った後にまた報告させて頂きたい。

 私自身は8月はフランスにいなかったものの、ネットで見る天気予報や現地からの声を集めると、

 

   時に「もう、秋?」と思うほどに涼しく、そして乾燥した夏。太陽は照っており、しかし夜間と早朝はかなり冷え込んでいるので、ブドウにとっては良いのではないか。

   8月後半から9月上旬にかけては、昨年を思わせるインディアン・サマーの到来。

   病害は見られたものの、2004年に比べれば微々たるもので対処が十分に出来るレベル。

   壊滅的、と言われるレベルの雹害は無かった。

 

となる。

 常に現地入りするまでは「肌で感じる確信」は得られないものの、初夏に何度か訪れた時の状況から冷静に推測すると、私自身も最低限、「特に問題は感じられないミレジム」であると捉えている。オスピス・ド・ボーヌの後には、味わいにおいても再度2005年ミレジムを検証したいと思う。

 

確かに同じ区画の一世代目のブドウでも、開花後のスピードは違う。

そして空はピーカン(というか、この日は本当に暑かった)で、確かに湿気の感じられない空気は軽かった。


6月20日に、ドメーヌ・クロード・デュガで畑仕事に参加した時のもの。クロード曰く、「開花後に夜が冷え込んだせいか、その後の開花スピードにややバラツキが見られた。しかしこれは問題というわけでは無く、畑での病害や雹害も特に無し」