Les MAINS du Vignoble
〜ワインの手〜
 


 

 初めて生産者のもとを訪ねたのは7年前で、それはブルゴーニュにあるエミール・シャンデセというドメーヌだった。当時勤めていた会社が彼のワインを自社輸入していたのだ。

 事務所に通され、シャンデセ氏と握手を交わそうとした時に本当に驚いた。

何という手!まるでグローブだ!

 彼の手は無意識のうちにも普段見ている数々の男性の手とは、骨格的に全くと言っていいほど違っていた。大きさは勿論のこと、張り出した手のひら、節くれ立った指。畑にいる人の手だ。  

 丁度その頃、どこの国の、誰の作品かは忘れたが「手」だけの写真集を見たことがある。国籍、性別、職業etc、、、。色々な要素が異なる手。手はその人の生き様を語るものだ、シャンデセ氏の手を見た後だっただけに、素直にそんな風に感じた。  

 今、数々の生産者に会う機会に恵まれている。なかには広報のお姉さんしか出てこない生産者もいるが、大体は仕事の合間を縫って生産者本人が説明してくれる。シャンデセ氏ほど大きくインパクトのある手にはなかなか出会わないが、やはり彼らの手はいかにも強そうな手だ。そして彼らの手はその日していた仕事によって、汚れ方も違う。 

「手の写真を撮らせてください」と言うと、大抵の生産者は少し驚く。その後は少し照れる人もいれば、何とも居心地が悪そうに手を差し出す人もいる。(ちなみに最もノリが良かったのは、意外にもニコラ・ジョリィ氏だった。彼は自ら畑へ駆けだし、畑の土を手に取った)手の出し方も人それぞれで、面白い。  

 そして私の手は、と言うと同世代の女性の手としてはかなり「見映えがよくない」と思う。まず、形がそもそも女性らしくない。そして10年近く店頭で勤務していた名残が、「豆」。当然だ。毎日ワイン12本入りの箱を何度と無く運んでいたのだから。そして当時はワインのダンボールや木箱に潤いも全て吸い取られて、常にカサカサだった。

 最近は箱を運ぶことは無くなったが今も豆は消えず、ヨーロッパの乾燥した気候の下、やはりカサカサである。そして夥しい試飲をした日にはグラスを持っていた手の親指、人差し指、中指にワインが染みこんで結構これがなかなか取れない。手を撮らせてください、と頼まれたらかなり恥ずかしい。そしてこれからも「白魚のような」と形容される手を持つ人生とは、なぜか縁遠いような気がするのだ。



 

Les MAINS du Vignoble

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あしからずご了承ください。(webmaster)

Claude DUGAT

Jean TARDY Le Clos de la Bruyere
(Les Caillau du PARADIS)
ジュヴレイ・シャンベルタンの澱引きを終えたばかり。 午前中、畑でエブルジュナ−ジュを終えたばかり。 午前中の畑仕事を終えて、シャワーですっきりしたジュリアンの手。手にしているのは畑の横にある森の中のシレックス。

 

Nicolas JOLY Emmanuel GIBOULOT Dominique GALLOIS
手の写真を撮りたい理由を話すと、「そりゃ、そうだ!」と大いに意気投合(?)。1枚目は彼の教授っぽいサンダル(?)の足元が写ってしまい、ボツ。そこでもう1ショットを頼むと彼自ら「畑で撮ろう!」と提案してくれた。そしてその写真が、これ。 この日のアポは5時。終日の畑仕事を終えた後で。 「畑で撮ろう」という、彼の提案のもとで。

 

Catherine & Dominique DERAIN Thierry GUYOT CHASSORNAEY
午前中の畑仕事と、2時間半にも及ぶ試飲の後で。 この日のアポは5時。終日の畑仕事を終えた後で。 この日のアポは7時。終日の畑仕事を終えた後で。天才肌は、手の出し方も個性的?

 

Francois VILLARD Yves CUILLERON LAFOY et GASSE
新しいセラーを建設中。間を縫った試飲の後で。 お昼ごはんを誘いに、ヴィラール氏を尋ねてきたところをぱちり。繊細な手! この日のアポは6時。終日の畑仕事を終えた後で。


Jacques SELOSSE

GATINOIS

90年代のシャンパーニュ平行試飲を終えた後で。アンセルム・セロス氏(左)と、彼の右腕ジェロームさん(右)

訪問の最後に。横で奥様が手の位置などをアドヴァイス。


Raymond DUREUIL - JANTHIAL

Domaine Gerard SCHULLER et Fils

Christine et Didier MONCHOVET

  

この日は私達とのアポイントの前後にも、ワインを買いに来たお客様がいて、レイモン氏は大変忙しいそうだった。間を縫って1枚。 こんな感じ?と試飲の瓶の上から手をひらり、と。結構お茶目だ。 ニコラ・ジョリィ氏に並ぶ、手写真ノリノリ派。アリゴテの説明をしながら


Comte Georges de Vogue

Philippe et Vincent LECHENEAUT

Prieure ROCH

ほんの数回微笑んでくれた中の1回が、この写真を撮る時。醸造責任者であるフランソワ・ミレ氏 この手はヴァンサン(弟)。手にしているのは試飲用ピペット

コイーバのシガリロも似合う手である。


Ghislaine BARTHOD

Etienne BRANA

Francois MIKLSKI

「前日にスティラージュしたばっかりだから、真っ黒よ」。とんでもない。手写真初の女性。やはり小さくて、綺麗。 アルコール一次発酵の真っ最中。ジャン氏。 彼の説明と同じく、手からも一見控えめなようで真摯さがひしひしと伝わってくる。


Domaine du Chateau de CHOREY

Domaine Henri GOUGES

Chateau SIMONE

陽気なブノワ・ジェルマン氏。先に撮っていた親友であるミクルスキ氏の手写真を見て、「なんで結婚指輪をしていないんだ!ずるいぞ!」と大騒ぎ。 この手は醸造担当のクリスチャン・グージュ氏。手写真の意図を説明すると「ロマンティックですね」と意外な答えが。 プロヴァンスらしいおおらかさ?ばーんと広げていただいた手はカメラに収まりきらない。しかしこの手はチェリストの手でもあり、ピアニスト(練習中)の手でもあるのである。


Thierry ALLEMENT

Robert MICHEL

Domeine COMBIER

オーラのある彼に何枚もの写真を頼むのは見当違いのような気がして、今回はこの1枚、手写真のみ撮影。 手写真を撮る時は「お好きなように手を出してください」と頼むのだが、その中で初めて片手を差し出した人。

この日は畑仕事から駆けつけての試飲。


Domeine Pierre GAILLARD

Andre BEAUFORT

Domaine Didier DAGUENEAU

3時間近くの試飲の後、手写真を頼むとなんと洗面所で綺麗に洗浄。新築したセラーの清潔さ同様、根っからのきれい好き? 現当主、ジャック氏の手。畑仕事からデゴルジュマン(澱抜き)まで、なんでもこなす頼もしい手だ。 彼が好きだったというチェ・ゲバラのカード(カードの右肩にはSilexの文字が。特製カードである)と一緒に。

 

Domaine Henri BOURGEOIS

Domaine GITTON Pere et Fils

Domaine de la TOUR de BOND

現当主、ジャン・マリー氏の手。同行した平均的日本人女性の手との大きさの違いは、、、一目瞭然である。 ひげだらけの顔に、この頑強な手である。

醸造責任者、アントワーヌの手。いかにも若い働き者の手!?



 

Domaine du GROS'NORE

Chateau ROCHE REDONNE

Domaine de TERREBRUNE

当主アラン・パスカル氏の手。ワインに関する仕事だけでは無く、狩猟やその料理もこなすワイルドにして器用な手だ。

「手写真を畑で」と頼むと、醸造と畑の責任者ギヨームが手にしたのは剪定ハサミ。訪問した日の午前中、実は彼は剪定中に腕を切ってしまっており、この日は腕の包帯(らしき布)が痛々しかった。

当主ジョルジュ・ドリーユ氏の手。品と余裕のある彼に似合う、繊細な手だ。後ろの土は土壌の説明様のもの。



 

Domaine Jean-Michel STEPHAN

Cave de CHANTE-PERDRIX

Domaine du MONTEILLET

ステファンが手にしているのはクオーツ(石英)。

フィリップ・ヴェルツィエ氏。男前の彼は手まで端正!

ステファン・モンテーズ氏の右手。強い日差しに隠されているが、薬指先には過去にざっくり切った切り傷が、、、。



 

Philippe PACALET

Domaine Marcel DEISS

Domeine Vincent DANCER

この日は特に仕事は無い、と言っていたので、このタンニンはやはり長年で染み付いたもの。

アルザスでの彼に対する批判は数多いが、ノエルに加えて年賀状まで(!)返信してくれる礼儀正しい人である。そして試飲前の働き者の手は、とても清潔。

ブルゴーニュの新しいスターの手にも、労働の厳しさが。本人は「カサカサだけれど」と照れ気味。