7/26  〜エペルネに目覚める!〜

 

今回のORGANISATEUR

 今回はベタン片手に、自分でアポ取り。

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 私一人。

 

今回のスケジュール

7/26

エペルネ着

10:30 TARLANT

15:10 Moet et CHANDON見学コース

16:30 Jacques SELOSSE

帰パリ

 

 7月も後半になり、生産者もヴァカンス・シーズンに突入(?)、いよいよアポ取りが難航。ローヌに行き始めてからふられ続けているチェリー・アルマンはアポ取りトライ3週間目に突入しても、ずーっと留守電(ヴァカンスなのか?避けられているのか?)。北ローヌからリュベロン、ラングドックに抜けるラインに至急行きたい生産者が4軒ほどあるのだが、1軒だけのために行くには北はともかく、南ローヌは資金的にも遠すぎる。この時期の南仏巡りはヴァカンス気分も満喫できて最高なのだが、アポが取れないことにはどうしようもないし、取れてもヴァカンスでどこが混んでいるかも分からない(シャトーヌフ・デュ・パープに行った翌週に、トゥール・ド・フランスがシャトーヌフ・デュ・パープを通過している様を見て、前週を選んでいたことが正解だったとほっとした)。

 というわけで、1軒でも気軽にパリから行けるシャンパーニュ行脚に急遽変更。最初にコンタクトを取ったジャック・セロスがいきなりOKだったことに気をよくして他をトライするが、この後は振られっぱなし。ブルーノ・パイヤール:「パイヤール氏は、今ベルギーです」。エグリ・ウリー:「予約番号は、こちら」、かけてみると全く誰も出ない(避けられているのか?)。殆どこんな調子で結局2軒しかアポは取れず日帰りに。

 ではこの状況でアポの取れた生産者のヴァカンス事情とは、どうなっているのだろう?

 まず今回の午前中のタルランだが、タルラン家ではなんとオーベルジュも経営している。マルヌ河とそこからせり上がる畑の丘陵の間に位置するタルランで、それらを眺めながらマダム・タルランの朝食を頂けるのだ。よって、常に誰かはいるようである。

 そしてジャック・セロス。アンセルム・セロス氏にヴァカンスのことを尋ねると「取るよ、15日間くらい」という答え。「うちは6人いるからね。交代で取るんだ」。ところでジャック・セロスの栽培面積は6,5ha弱。この広さを6人で見ているので、単純計算すると一人あたり約1haを請け負うことになる。シャンパーニュの平均は一人あたり約3haの仕事なので、ビオは手がかかるとはいえジャック・セロスの従業員数はかなり多く、それはジャック・セロスの味わいから察すると丁寧な仕事に通じると考えてよさそうだ。

 

エペルネ

Avenue de Champagne。文字通りエペルネの大手メゾンが立ち並ぶ通り

 

今回2軒の訪問の拠点地にした、ランスと並ぶシャンパーニュの街、エペルネ。実はエペルネは初めて訪れる。パリの東駅よりノンストップなら1時間10分弱。正規料金でも18ユーロ。

 フランス国内の土地勘が無いことを良いことに(?)、時にモンペリエ日帰りを敢行したりした。私にとってはモンペリエもエペルネも「一ワイン産地に近い街」でしかない。なので「ワイン産地にたった18ユーロで行ける」というのは、とてもお得な気分だ。

 午前中のタルラン訪問を終えた後、エペルネの街の中心まで戻り昼食を取りながら、街の地図をチェック。ボーヌといい、ランスといい、そしてエペルネといい、方向音痴の女性の足で歩け、かつ眺めの良い街というのはありがたい。ワインショップを冷やかそうと思ったが、私のアイドルタイムは店の昼休みでもあるので、知人へのお土産や8月にこちらへ遊びに来るダンナのウエルカム・シャンパンを買うことは潔く断念。魅惑的な名前のアヴェニュー・ド・シャンパーニュ(Avenue de Champagne)に行ってみることに。地図によるとこの通りにはモエ・エ・シャンドン、ペリエ・ジュエ、ド・ヴノージュ、ポール・ロジェ、フランケン・ドモイゼル、ボワゼルトイッタ」グラン・メゾンが西から東に並んでいるようだ。

 

角地にある、モエ・エ・シャンドン。一度は通るべき道?

 各メゾンの写真を撮ろうという志は、通りの角にあるモエ・エ・シャンドン(やはりモエの大きさはダントツ。この通りに3軒の建物を持つ)に吸い込まれるように入ってしまった時点で、あえなく挫折。アメリカ人チームと共に「試飲付き(3種類)45分見学コース」に参加。19ユーロは少々高い。しかし「全長28km」「深さ25m」等という数字は単純に感心できる。受付もホテルのようで対応も良く、ウェイティング・ルーム、トイレ、広々と清潔で快適。ランスの大手メゾンには何件か見学に行ったことがあるが、メゾンの快適さにおいてはさすがトップ・メーカー、モエはダントツ一等賞(?)。

 結局ジャック・セロスまでのタクシーも受付のお姉さんに呼んでいただき、タクシーでアヴェニュー・ド・シャンパーニュを走っていると、ふと不思議な気分になった。こんな表面上は何の変哲もない道路の十数メートル下に、各メゾンのシャンパンが累々と眠っているだなんて。 

 

最終的にジャック・セロスへの訪問は4時間にも及び、メゾンを後にしたのは8時半過ぎ。9時のパリ行きに飛び乗り、11時前に帰宅。いやぁ、エペルネは近い。自宅のベッドに寝ころんでつくづく思った。つい数時間前までアンセルム・セロス氏と会っていただなんて。最近はホテルの部屋でその日会った生産者のことを思い出すことが常だったので、今パリにいる、ということが不思議だ。

 

ともあれ、エペルネの魅力に今頃気付き、再来週は再度シャンパーニュだ!