4/30〜5/2

〜3年ぶりのBOURGOGNEは贅沢に!(アンリ・ジャイエは二度ブショる?)〜

 

 

今回のORGANISATEUR

 今回の生産者訪問をアレンジしてくださった人は、現在パリでRestaurant TAIYO18,rue Cadinal 

Lemoine 75005 Paris, tel:01 43 29 32 55) を経営している須藤さん。国籍問わずパリ在住のワイン

好きの人で、須藤さんを知らないひとはいない?目指せ、和製Tam Dhih(タンディン)!!!

 (Restaurant TAIYOは7月で閉店されました)

今回のチーム・デギュスタシオン

 今回はアレンジをしてくれた須藤さんの他に、エア・フランスのソムリエール2人とそのご主人1人、料理人、私のダンナ、そして私の計7人。今回は土地勘あり、車あり、語学力あり、会社の看板(知名度)あり。カメラもダンナに任せた。私は体調を整え、飲み、そして質問事項を考えるだけでOK、という余裕の訪問。

 

今回のスケジュール

4/30

7:30 Paris発

11:00 Beaune

Peradel(ワインショップ)でお買い物 

12:30 Castel de Tris Girardで昼食 

16:30 Claude Dugat訪問

20:00 Ma Cuisine(言わずと知れたレストラン)で夕食 

Casino a Santenay 元気があればブルゴーニュ唯一のカジノへ?

 

5/1(メーデーで祝日)

午前中 Cave a Chassgne(シャサーニュ・モンラッシェ市営のワインショップ)で試飲&お買い物

12:00 Le Montrachetで昼食

午後 Beaune お散歩

20:00 Chateau Gillyで夕食 

 

5/2

11:00 Jean Tardy訪問

12:00 Petite Aubergeで昼食(ヴォーヌ・ロマネの生産者が一押しするレストラン)

14:00 Confuron COTEIDOT 訪問

16:00 Beaune

20:00 Taiyo(Paris)で打ち上げ

     今回訪れたレストランには須藤氏曰く、「もう、これ以上他の人に知られたくないー!」ものも含まれています。嗅覚をきかせて、ぜひ、探し当ててください!?

 

 今回は私のダンナの「来仏記念ツアー」(?)。彼にとっては丁度3年ぶりのフランスであり、ブルゴーニュ。前回はロマネ・コンティの畑の前で感激の余り、1時間以上帽子をかぶらずにたたずんでいたら(彼はスキンヘッドである)、車に戻る頃にはまるで海水浴に行ってきたかのよう真っ赤な頭になっていた。あの神聖な地の日当たりを侮ってはいけない。以来「テロワールを体で知る男」と自称している。

 久しぶりかつ旅行も兼ねて、ということで、レストラン、ホテルもかなり高級な場所を予約。訪問先には神様の名前もある。しかしメーデー(こちらは休日)を挟んでしまったので、アポイントが断られることが多く、全体的にはのんびりペースの移動となった。

 

畑でナンパ?

 今回の訪問はメーデーを挟んでしまったので、パリから送る訪問依頼の回答は殆ど「NON」。久しぶりだし、あの美しい丘陵と近い空さえ見ることが出来たらいいわ、なんて言いながらも心の中は「デュガとデュガ・ピを飲み比べたかった(デュガ・ピは断られた)」等と、やはり煩悩の渦。

到着後も車の中から畑で作業している人達の姿が見えると、「おいっ、どこのドメーヌか聞いて、アポ取ってこいっ!」の声もと、フランス語が流暢なステュワーデス・チームがアポ取りトライ。だがなかなかそう上手くはいかない。それでも訪問を終えたデュガ家から滞在先であるニュイ・サン・ジョルジュへ戻る道は、目の保養と再度アポイント・ゲットも兼ねて一級、特級畑を通る道を抜けていくことに。

しかしそれにしても標高が上がるに連れて、畑を見ていて連想する言葉は「盆栽」。ストイックで美しい。

 

クロ・ヴージョや、エシェゾーそして例の記念写真スポット区画を抜けてマルコンソールとショームの間にたどり着いた。そしてショームで畑仕事をしている数人を発見!

こんな、良い区画で作業しているだなんて、素晴らしいドメーヌに違いない!

車内はにわか色めきだった。

 と、その時顔を上げた一人の青年の顔に見覚えがあった。あれは、les Grands Jours de Bougogneの時に、ワインも印象的で説明も親切だったJean TARDYだわ!気が付くとヴァンから身を乗り出して訪問したい旨を伝え、あっと言う間に翌々日11時のアポイントが成立した。

 

 しかし彼にとっては呆気にとられた余りのOKだったのかもしれない。彼の立場で考えると状況はこうだ。

 1日の仕事を終えようとしている夕方。そこに東洋人の乗ったヴァンが畑に横付ける。いきなり一人の女性が身を乗り出して一方的に話し出す。

―あなた、たるでぃさん!わたし、あなたと、あった、おぼえている、3がつのles Grands Jours de Bougogne!あなた、わたし、おぼえている?カーヴ、みたい、あさって、OK?ありがとう、ありがとう、さようなら〜〜〜!―

 ノン、って言うとしたら、一体いつ言えたのだろう?そしてほんとに彼らは来るのだろうか?

 

 私達もあんなナンパのようなアポ取りで、当日彼が約束を覚えてくれているのか不安だった。しかし彼は約束の11時丁度にわざわざ畑から戻ってきて、その後1時間以上かけてバレルテイスティングをさせてくれた。そしてテイスティングは色々な意味で素晴らしいものだった。

 きちんと対応されればされるほど、自分の至らなさが後で恥ずかしくなるものだ。やはり理想は事前のアポイント。そしてナンパ式を敢行するなら、もう少しスマートに???

 

アンリ・ジャイエは2度ブショる?

 ―アンリ・ジャイエ ヴォーヌ・ロマネ 1992 112ユーロ(13000円台半ば?)―

レストランに在庫があると聞いたので、全員一致で頼むことに。

 1本目のラフォン ムルソー・シャルム 1996で全員の興奮が醒めやらぬところで、真打ちジャイエ様がグラスに注がれた。

 、、、、。ブショっている。

本当に軽いブショネだ。だからテイスティングした人は周りの空気も考えて、ブショネと言い切れず、又初めて飲む人にとっては「アンリ・ジャイエってこんな感じなんだ」で終わったのかもしれない。しかし、重かろうが軽かろうが、ブショネはブショネ!そして本来のジャイエの風味では無いのだから、これはやはり言うべきだ。

 しかしソムリエに伝えると「ブショネではない」。

 そこで私達は賭けに出た。つまり、もう1本同じものをオーダーし、2本目の中身に賭けたのだ。2本目の中身が明らかに違えば1本目はやはりブショネ、ということになり、最初の1本のお勘定はソムリエの良心に任せようと。いや、実際勘定はどうでもいいのだ。ちゃんとした状態のジャイエが飲みたい、ジャイエから与えられるあの感動を久しぶりに味わいたい、というだけなのだ。

 そして2本目登場。

 、、、、。確かに1本目とは違う。状態は1本目より良いし、記憶にあるジャイエの風味に近いのはこちらだ。しかしブショってる!!!1本目よりも遙かに軽いのだがブショネはブショネだ!そして最終的にジャイエのワインが持つポテンシャルが感じられない、ということが問題なのだ。ブショネ自体は軽くても、やはりそこにブショネがあるから、それがラディカルな要素となって全ての要素を少しずつ狂わせているとしか思えない。

 しかし2本目の状態が1本目より少々良かった、ということがブショネを認めないソムリエに、最終的に有利な言い訳を与えてしまい、私達は敗北(?)した。つまり彼の言い分とはこうだ。

@     2本ともブショネでは、ない。

A     2本目の状態が違うのは、アンリ・ジャイエが樽ごとのアッサンブラージュをせず、樽から直接瓶詰めするからだ。

 納得がいかない。ブショネは結構高い確率で起こることだから、それは誰かが悪いわけではない。ただ私達は同じ名前で内容の劣るものに、お金を払う必要が無い。それだけのことだ。

そして樽差はもちろんあるだろう。でも彼の説明ではジャイエが可哀相ではないか!すなわちジャイエが目指している味というのがこの程度、ということになってしまう。

もっと抗議しても良かったのかもしれないが、最終的に私達はジャイエのワインよりもテーブル全体の時間を楽しむことを選んだ。そしてお勘定には、しっかり2本分のジャイエ代が付いていた、、、。

 

*付記:実はこの話には前座があり、前回須藤さんが訪れた時も同じレストラン、同じワイン、同じソムリエで同じことが起こったのだ。しかし前回は2本目のワインが劇的に良かったので、ソムリエはブショネを認め、ワイン代は1本しか付かなかったらしい。ソムリエも須藤さんを覚えていたので、今度こそは負けられない(?)、というような変な意地が彼にあったのかもしれない???

 

 

 

訪問を終えて

 唯一ワイン産地で土地勘らしきものがあるとしたら、それはブルゴーニュ(特にコート・ド・ニュイからボーヌの街に至るまで。最初に訪れたのは7年前か)。なので毎回訪れる度に他の産地には感じない「ほっとする」という感覚がある。そして今回はles Grands Jours de Bougogneで溜まった欲求不満、すなわち「ブルゴーニュの地にいながら、1軒もカーヴを訪れていない!」もとりあえず少し収まった。

 でも、帰るとすぐに又行きたくなるのがブルゴーニュ。パリよりも、そして他の産地よりも空がぐっと近く感じるあの風景と、カーヴの香りが恋しくなる。××切れ、という言葉は私にとって、ブルゴーニュと趣味のダイビングに当てはまる。

 次回は多分6月?とにかくブルゴーニュが単純に好きなのだ!!!

 

 今回の訪問費用:

 ノー・アカウント(計算したくない?)。