〜6/10〜12 初めてのALSACE! (憧れの「ドメーヌごはん」)〜

 

 

今回のORGANISATEUR

 今回の生産者訪問をアレンジしてくださった人は、現在Seppi LANDMANNで研修中の「けんさん」。彼とはパリで行われた試飲会「Les Grands Crus d’Alsaceで知り合った。久しぶりに会うと、畑仕事のせいかマリンスポーツのイントラ並みに日焼けしていた。謙虚で親身!

 

今回のチーム・デギュスタシオン

 今回はアレンジをしてくれたけんさんの他に、同じくSeppi LANDMANNで短期研修中のカナダ人ソムリエ君が二人、そして私の計4人で廻ることに。アルザス、ケベック、そして日本。ヴァンの中(今回の足はSeppiさんの作業車。写真を取り忘れたのが残念だが、なかなかスゴイぞ)、訪問先、行く先々で色々な訛りのフランス語が飛び交うことに。しかし訛ってようとなかろうとある程度以上のレベルのフランス語になると理解できないので、私には余り関係ない。いつかは「××地方のアクセントは、わかりにくくて困ったわ」なんて言ってみたいものだ?

 

今回のスケジュール

6/10

コルマール着

14:00 Lois SIPP

16:30 Cave de KIENTZHEIM-KAYSERSBERG

 

6/11

9:00 Rene MURE

11:00 Seppi LANDMANN

Seppi LANDMANN宅で昼食

16:00 Albert MANN

Seppi LANDMANN宅で夕食

 

6/12

帰パリ

 

この中で不安だったのは、11日のRene MURE。この日は8時半から決勝トーナメントへ最後の望みをかけたフランスの試合があったのだ。Rene MUREさんが気もそぞろでなければよいのだが。

しかし約束の9時前に既にフランスは先制点を奪われ、結局だめ押しでフランスの負け。昼食時にはフランスチームは「くそったれ」以下の言葉で罵られ、次の日の新聞には「La fin de une histoire(一つの歴史の終わり)」の見出しが踊っていた。

 

コルマールは遠かった、、、

 生産者を訪問するなら、ストラスブールよりもHaut-Rhin寄りのコルマールが拠点になることが多いと思うのだが、はっきり言ってコルマールは遠い!

 パリ〜モンペリエ4時間と少し、パリ〜ボルドー3時間、それらに比べるとコルマールなんて地図を見ると東にちょいちょい、近いもんだわ、楽勝よ!と思った私が馬鹿だった、、、。往路は6時に家を出、6:40パリ発、ムールーズ経由、12:09コルマール着。帰路は9:05コルマール発、13:54パリ発。渋滞のパリをバスで抜け家に帰り着いたのは、結局3:15。そう、ドア・トゥ・コルマールは実に6時間!大阪から韓国に行くのと、余り変わらないじゃないか!

 なぜなら帰路でやっと気づいた私も間抜けだが、パリ〜ストラスブール〜コルマール間にはまだTGVが通っていないのだ!つまり急行でひた走っているのね。遅いはずだわ。

 ちなみに料金はコルマールまで片道41ユーロ(正規料金)。まぁ、文句を言える値段ではないけれど、早く開通してくれ、TGV!!!(後日知人に電車で行った、と言うと大変驚かれた)

 

エッチなラベル 〜‘96はエロの年?〜

 「96 Cuvee Erotiqure(96 キュヴェ・エロティック)」

 Seppi LANDMANNで見つけたワインだ。あれれ、なんか聞いたことがある響きでは?そう思った人は少々フランス・シャンソン事情に詳しい人。

 「69 L’anne erotique(69年はエロティックの年)」。セルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキンの「いい加減にせんかい」と言いたくなるようなデュエット。「69」と当時の彼らのラブラブ度、そしてエロティックを掛け合わせた、有名なシャンソンだ。私の友人の一人はこの曲のお陰で「69(スワソンヌフ)」というフランス語だけは完璧に発音できるらしい。

そしてもちろんこのワインは「69 L'Anne Erotique」のぱくり。ラベルの裏にはちゃんと能書きもある。

〜69年以降こんな偉大なエロの年があっただろうか?そう、それは96年!このワインをセルジュとジェーンに捧ぐ。云々、、、〜

 そして、このラベル。姿勢の無理さ(?)が笑えます。そこまでして、、、てな感じで。

 しかし、私がこのラベルに異常な関心を持ってしまったため、私自身が「エロなやつ」と思われたのではないかと、少々心配だ。

 

憧れの「ドメーヌごはん」

 ヴァンダンジュ(収穫)の手伝いに憧れたことがある人なら、収穫の風景の向こうにいつも「生産者宅で食べるごはん」(もちろんワイン付き)が、透けて見えているのではないだろうか?もしかしたら、あのワイン付きごはんに憧れるが故、ヴァンダンジュを経験してみたいと思っている人もいるかもしれない。

 私もその一人で、写真などで見る収穫時期のお昼ご飯風景には随分憧れたし、インポーターの方々が帰国後「××さんところでお昼と一緒に、○○の△△年開けてもらったよー」等と話をするのを聞くと、ひたすら「いいなぁ」と指をくわえるしかなかったのである。

 今回けんさんのアレンジしたくれたスケジュールの中できらり、と光る

Seppi LANDMANN宅で昼食」の文字。

ううう、とうとう私も「ドメーヌごはん」デビューね。ここまでの道は長かったわ。

 

 というわけで、この日は午前中に Rene MURE、 Seppi LANDMANNでの試飲を終えた後、Seppi さん宅のダイニングへ。Seppi LANDMANNでは常時数人の研修生を受け入れているので、1年を通じてかなりの大所帯なようだ。

 本日のシェフはおばあちゃんと、マダム。Seppi LANDMANNでは毎火・金曜日のお昼は今日のようにお二人が腕をふるい、ワイン付きフルコースとなるらしい。

 でも、ほんとにフルコース!スープから始まり、サラダ、魚料理、肉料理(この日はキジ)、フロマージュ(もちろんマンステール)、そしてデザール。そしてdegustateur(利き酒師)を名乗る、ジャン・フランソワが、一皿一皿に合うSeppi さんのワインをサービスしてくれる。また、これがよく合う!マリアージュと言えば、和食だ、中華だ、といつも言われてしまうアルザスワイン達が心なしか生き生きして見える。

 でも本当にこの2人の料理の腕は、素晴らしい!もちろん愛情こもった料理であることが大きな理由であるとしても、素朴なメニュウながら、調理のレベルも高い!焼き加減、塩加減、ハーブなどの使い方、それらが全てびしっ!と決まっている。センスと経験。脱帽。

 けんさんに、「どこのドメーヌもこんなに料理が上手なのか?」と尋ねると彼は大きく首を振る。

「何軒か他のところへ行ったけれど、Seppi さんところは、本当に美味しい!自分、ここに来て8〜10キロ位太ったんじゃないかな、と思うくらい」

 今日食べた印象では、決して油を多用した料理ではなく、むしろどれもさっぱりとしたものなので、けんさんの体重増加は、美味しさ故の食べ過ぎ、ということか。

  最後はけんさんとSeppiさんが、夜中もぶっ通しで仕込んだというゲヴュルツトラミナーのマールで締めて、お終い。ごちそうさまでした!

 

PS:夕食前にはまだ仕込み中のZinnkoepfle(Grand cru)の全セパージュをいただき、これがアペリティフ代わり?その後、スープで始まった夕食は魚料理が出なかっただけで、(でも変わりにジャンボン系統がプラス)きちんとフロマージュ、デセールで締めて、終わり。満腹の後にミュスカとゲヴュルツの2種類のマール。マールの「打ち止め」感がたまらない。帰パリ後、体重計に載るのが怖い、、、。

 

訪問を終えて

 今回は街を余りゆっくり見ることが出来なかったけれど、コルマールの街並みは「ほんとに人が住んでいるの?」と言いたくなるくらいに、ロマンティックだ(テーマパークみたい、と言えば分かっていただけるだろうか?)。ストラスブールまで行くと白壁に木組の典型的アルザス建築物が増えて、全体的により大きな街らしい。またアルザスはパティシエを目指す人にも良い環境だとか。

 しかし私がもっとも驚いたの畑の風情。盆栽の世界を彷彿とさせるストイックな春先のブルゴーニュやボルドーの畑、緑がまだ閑散としたシャンパーニュの4月、暑さを地面ぎりぎりの高さで受け止めるような5月のローヌ。それらしか見たことがなかったので、6月のアルザスの畑には、少し驚いた。言い方は悪いが「伸び放題」に見えてしまう。

 オー・ランを南下していくと、左右、特に右手にせり上がるようにブドウ畑の丘陵が現れる。「おお、コート・ドールの再来か!?」と思うのだが、寒い土地のせいか(特に土が冷たいのだろうな)枝葉はひたすらひたすら頭上の太陽を求めて必死で手を伸ばし、その結果6月時点で私の身長くらいあるんじゃないかと思われる。ギュヨ、と言われてもピン、と来ない。

 なんかこっそりナスなんかを付けてしまうような(ゴメンナサイ)風情が可愛いい。がんばって太陽をいっぱいに浴びてね。

 

 今回の訪問費用:

早朝の自宅(パリ)〜東駅(パリ) 予約タクシー 22ユーロ

パリ・コルマール往復 急行 83ユーロ

駅前の三つ星ホテル(2泊) 151ユーロ(少々ミニ・バーに手を出し)

生産者への手土産(日本酒。パリの日本名門酒会購入) 98ユーロ

その他 30ユーロくらい?

計 384ユーロ