7/9〜12 〜真夏のローヌ〜 |
今回のORGANISATEUR |
今回はベタン片手に、シャプティエ以外は自分でアポ取り。
今回のチーム・デギュスタシオン |
ヴァカンス中のソムリエ氏と、3回目の産地巡り。彼には初めての土地でも完璧な土地勘があるので、地図と時刻表を押しつけた後は、歩き方を任せっ放しにできるのがありがたい(すまん)。
今回のスケジュール |
7/9
ヴァランス着(北ローヌ)
15:00 M.CHAPOUTIER
ヴィエンヌに移動
7/10
11:00 Domaine Francois VILLARD
15:00 E.GUIGAL
7/11
オランジュ着(南ローヌ)
10:00 Domaine de MARCOUX
14:30 Chateau de BEAUCASTEL
7/12
モンテリマールに移動
10:30 Domaine GRAMENON
帰パリ
この週、そして前週のパリの気温は午前中で11−13度、昼間上がってもせいぜい20度。そして余り晴れない。脱ぎたがりのパリっこも流石に寒いらしく、7月というのに薄手の革ジャンを着ている人も見かけるほど。日本の猛暑が思い出せない。
しかしローヌは暑かった!パリからTGVでたった2時間10分で到着したヴァランス。日差しの質が違う!パリと地続きだなんて信じられない。これは馴染みのある、南の島のそれに近い。そして来ている人は殆どがヴァカンス。そうだ、既にJuillettiste(ジュイエティスト)と言われる「7月にヴァカンスをとる人」にとって、ヴァカンスのシーズンが始まっているのだ。そしてこれが今回の訪問で、悲喜こもごもの計算違い(?)を生むこととなる。
ヴァカンス、ヴァカンス、ヴァカンス |
例によって生産者とのアポ以外は何も用意せず、滞在するであろう街々のことも調べていない。しかし最初に2泊する予定のヴィエンヌに到着し、いつも通りにインフォメーションに載っているホテルに電話すると、なぜかことごとく「Complet(満員)」。仕方なくホテルのランクを上げ電話をしても同じこと。ようやく「今なら空いている」と言われたホテルに赴き事情を聞くと「13日まで、ジャズ・フェスティヴァルなんですよ。そこにポスター、貼ってあるでしょう。この時期どこも一杯ですね」
確かに。街中でジャズのウォーキング・ベースが響いている。説明に納得している間にも駆け込みの観光客が私達の後ろに、また一組。この一組の部屋があるかどうかは私達次第、とのこと。一瞬の差で部屋を押さえ、無事チェック・イン。
しかし、こうなると最終日に宿泊を予定しているアヴィニョンも不安になってくる。ソムリエ氏が「地球の歩き方」を見ながら「7月のアヴィニョンは演劇祭みたいっすね。世界中から大道芸人とヤジウマが集まるって書いてますよ」。なんだとー!イヤな予感のもと、地球の歩き方に掲載されているホテルに電話するとやはりことごとく、「Complet(満員)」。こちらはもっと満員度が高く、はっきりと「今月一杯ムリです」と言われることも多かった。
その後「にわか南仏通」になるべく地球の歩き方を読んで分かったことだが、ヴァカンス時期である7月、8月はどの街でも色々なイヴェントが行われており、単なる観光客+イヴェント目当ての観光客でごった返すようなのだ。この時期生産者自身がヴァカンスを取ってしまいアポ取りが難航することがあるが、訪ねる生産者が南仏ならホテル確保も必至であるようだ。
しかしホテルさえ確保できれば、昼間は産地巡り、夕方からはプティ・ヴァカンス気分を味わえる「一粒で二度美味しい」限りなく贅沢な旅となる。生産者に会った興奮が消えないまま、暮れない日を持て余しつつプールサイドで、カフェで、ビールとパスティスをうだうだと飲る。パリには無い強烈な日差し、濃い緑、あちこちに残るローマ遺跡。
「オランジュってローマ遺跡が一番完璧に残ってるみたいっすね」「モンテリマールって、ヌガーの発祥の地らしいっすよ」、ETC、、、。やはり「にわか南仏通」になっているソムリエ氏の情報に「あら、そうなの」と感心することも、しきり。
結論。
@ この時期の南仏生産者巡りに、ホテル予約は必至。
A 週の前半は生産者巡りに、週末も滞在してプティ・ヴァカンスにしてしまう。
B ヴァカンスを盛り上げる小物(水着、サンダル、ワンピース)を持っていく。
楽しまなきゃ。
そして、畑 |
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マルサンヌ?ルーサンヌ?の横に立っているソムリエ氏の身長は186cm |
メメ(グラムノン)の畑のグルナッシュ |
生産者と会いカーヴで仕込み中のワインを試飲する。生産地巡りの醍醐味だ。そしてもう一つの楽しみは、もちろん畑を見ること。土地、季節によって当然異なる畑を見比べながら歩くのは本当に楽しい。
そして、ここ真夏のローヌの畑。季節と共に南下しているせいもあるが、他の地域と比べての感想は一言「元気だなぁ」。初めて見るヴィオニエは人の背よりも高く、グルナッシュの葉は地を這う。葉は繁り放題、ブドウはなり放題。しかも実は既にかなりぷりぷりだ。かなり有名な畑でも同じ。フォイヤージュは?ヴァンダンジュ・ヴェールは?と不安になるほどだ。
またビオの畑はブドウに負けじと雑草も繁り放題だ。濃い緑の香りとセミの声、時間が止まったかのような日差しと影。小学生の夏休みを思い出す。
夏休みを畑の風景に求めて、再度南下を計画中の7月半ばの今日この頃。
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ぷりぷりのマルサンヌの実。(シャプティエ) | どれがブドウで、どれが雑草?メメ(グラムノン)の畑 |
圧巻、、、ギガル工場? |
もしかしてマルセル・ギガルに会えるかも、、、なんて期待をした私が馬鹿だった。
ポメリーみたいな防寒用ストールをはおった広報のお姉さんに率いられて、「3時スタート」のグループの一人としてまずはセラーから見学スタート。
時折作業車の走る広大なセラーの中には、文字通り夥しい数の醸造用大樽、熟成用小樽が累々と続く。写真を撮ろうかと思ったが、素人が撮ってもただの「大量の樽」写真になることは明らかだったのでやめた。
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栓が全て斜めを向いているのは、斜めの状態だと密閉率が高くなり過剰な酸化を防止できるから。この状態で何段にも積まれており、試飲は積まれずに下に置いてある試飲専用の樽から行う |
コントロールするパネル |
ハイテクな選果台 |
その後の見学コースは、各キュヴェの温度調節や進行状態などを一括でコントロールするパネルや、ハイテクな選果台、極めつけは箱詰めから出荷の箱組までの一連のベルトコンベアーだ。似たようなシステムは他でも見たことがあるが、やはり量が凄い。バリック一樽分くらいのケースならあっと言う間に積み終わり、次から次へと出荷待機のコーナーに運ばれていく。初めて工場見学に来た子供のように、口をぽかんと開けて流れ作業を見守るのみ。感心、感心。しかし世界中至る所でギガルのネゴシアンワインにはお目にかかるのだから、これくらいの規模でなければあらゆる意味で間に合わないだろう。
ただ自分のいい加減なアポ取りと、キャリアの無さを棚に上げて言わせていただくと、セラー訪問としては非常に味気ない。少し突っ込んだ質問をするほど広報のお姉さんの答えは曖昧になるし、勿論不利なことは決して言わない。いくら個人のHPでも曖昧な答えを訪問記として書くことは出来ない。そして畑を見ることが出来るわけでもない。
まぁ、見学場所を間違えて最初に行ったシャトー・ダンピュイは、現在改装中とはいえ周りの風景と見事に溶け込んで美しかったし、見学したセラーで「なぜ、ここのセラーはこんなに赤ワインの香りが強いのか?」なんて余り本題と関係の無いことを考えているのも楽しかったので、今回はこれで良し。
そして次回はギガル氏の哲学を拝聴することができますように。